グーグル・クラウド・ジャパンは、クラウドサービス「Google Cloud」を中核とする事業戦略について説明。同社 代表の平手智行氏は「クラウド利用の変遷が進んでおり、これまでのインフラストラクチャクラウドから、今後は変革を推進するトランスフォーメーションクラウドの時代に入る」と述べた。
グーグル・クラウド・ジャパンは2022年4月6日、オンラインで会見を開き、クラウドサービス「Google Cloud」を中核とする事業戦略について説明した。同社 代表の平手智行氏は「クラウド利用の変遷が進んでおり、これまでのインフラストラクチャクラウドから、今後は変革を推進するトランスフォーメーションクラウドの時代に入る」と述べた。
Google Cloudは、グローバルで29のリージョンでデータセンターを展開しており、今後10のリージョンの追加を予定している。国内には東京と大阪の2拠点があり、他リージョンとは4本の海底ケーブルで結ばれている。2023年をめどに、カナダと日本を結ぶ新たな5本目の海底ケーブル「Topaz」が開通する計画だ。
Google Cloudが推進するトランスフォーメーションクラウドを構成する要素は「データクラウド」「オープンクラウド」「トラストクラウド」「コラボレーションクラウド」の4つだ。
データクラウドでは、データとAI(人工知能)の利活用に向けてユーザーが抱える顧客中心にデータを集約するとともに高度な即時性と汎用性でデータを正規化し、顧客動向の特性を数値に展開するという形で、AIの民主化によってビジネス変革を加速できる。例えば製造業であれば、柔軟なサプライチェーンに向けたデジタルツインによるシミュレーション、工場内IoT(モノのインターネット)、AI/機械学習を駆使した設備保全などで、データクラウドに対するさまざまな要望があるという。
オープンクラウドは、オンプレミスとのハイブリッドクラウド、他社クラウドとのマルチクラウド、ネットワークやエッジに対応し、1社にロックインされない形でユーザーがさまざまなアプリケーションを開発、活用できる点が特徴となる。Google Cloud上でワークロードを実行すれば、特定のプログラミングやモデルに縛られずに済むとしている。
セキュリティと関わるトラストクラウドについては、グーグル(Google)が5年で1兆円の投資を表明するなど力を入れている分野だ。グーグル自身が早期から取り組んでおり最大のユーザーでもあるゼロトラストアプローチに基づくソリューションを提供できるという。また、保存データや転送中データの暗号化だけでなく、使用中データの暗号化にも取り組んでいる。
そして、「Gmail」などの「Google Workspace」を中核とするコラボレーションクラウドによって、協働型の働き方を支援していく構えだ。
グーグル・クラウド・ジャパンでは、市場拡大に向けてパートナー企業との活動も積極的に広げている。2021年の目覚ましい採用事例としては、みんなの銀行の勘定系システムの構築がある。ミッションクリティカル系システムはクラウド移行がなかなか進まないことが知られているが、このみんなの銀行の事例をきっかけにパートナーの活動も活発化し、2021年の案件創出は前年比で70%超成長した。
また、パブリッククラウドのシェアで先行するAWS(Amazon Web Services)やMicrosoftの「Azure」と、Google Cloudをマルチクラウドで組み合わせて活用する「A+G」の浸透によってパートナーが拡大している。ここで重要なのが、「A+A(AWS+Azure)」という事例があまり多くないことであり、IaaSとしてAWSやAzureを導入した後のデータ活用の局面では必ずGoogle Cloudを検討されるのだという。
2022年も、SIパートナーやISV(独立系ソフトウェアベンダー)への投資の拡大、リセールパートナーとの共同マーケティング資金の拡充などにより、さらなるパートナー企業数の拡大を目指すとしている。
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