クリモトが量産要求にも対応可能なPBF方式3Dプリンタを導入、日本初本格稼働へ:3Dプリンタニュース
ストラタシス・ジャパンは、同社の販売代理店であるクリモトが今後の試作ビジネスおよび量産用途向け事業の拡大を見据え、量産用途向け粉末床溶融結合(PBF)方式3Dプリンタ「Stratasys H350」を導入し、本格稼働を開始したことを発表した。
ストラタシス・ジャパンは2022年3月30日、同社の販売代理店であるクリモトが今後の試作ビジネスおよび量産用途向け事業の拡大を見据え、粉末床溶融結合(PBF:パウダーベッドフュージョン)方式3Dプリンタ「Stratasys H350」(以下H350)を導入し、本格稼働を開始したことを発表した。H350の日本国内における本格稼働はこれが「初」(同社)だという。
クリモトが導入を決定したPBF方式3Dプリンタ「Stratasys H350」[クリックで拡大] 出所:ストラタシス・ジャパン
H350は、レーザーではなくプリントヘッドを用いたPBF方式の3Dプリンタで、ストラタシス独自の「SAF(Selective Absorption Fusion)テクノロジー」を搭載することで、高い費用対効果と高品質な機能性パーツの製造を実現している。試作のみならず、量産ニーズにも応えられるとし、海外では既に、自動車産業をはじめとする製造業分野において、最終用途部品などの製造に活用されているという。
H350の最大造形サイズは315×208×293mmで、積層ピッチは100μm。装置本体のサイズは1900×940×1710mmで、重量は800kgとなる。
今回、H350の導入に踏み切ったクリモト 代表取締役の栗本英年氏は、「H350は、今までのPBF方式3Dプリンタと比較して、造形スピード、精度ともに非常に優れていると感じている。試作用途にとどまらず、量産にも使えるのであれば、今後のモノづくりが大きく変わるだろう」と述べている。
(左)ストラタシス・ジャパン 社長の森道明氏と、(右)クリモト 代表取締役の栗本英年氏[クリックで拡大] 出所:ストラタシス・ジャパン
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- コロナ禍で生まれた3Dプリンタ活用の流れが、デジタル製造を加速
コロナ禍で、あらためてその価値が再認識された3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリング。ニューノーマルの時代に向け、部品調達先や生産拠点の分散化の流れが加速していく中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、その活用に大きな期待が寄せられている。2021年以降その動きはさらに加速し、産業界におけるデジタル製造の発展を後押ししていくとみられる。
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。
- 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.