色の目視検査を自動化へ、エプソンが分光ビジョンシステムを提案:2022国際ロボット展
セイコーエプソンは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)に出展し、独自の分光ビジョンシステムによるインラインでの色検査ソリューションを紹介した。
セイコーエプソンは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)に出展し、独自の分光ビジョンシステムによるインラインでの色検査ソリューションを紹介した。
分光ビジョンセンサーを組み込んだインラインでの色検査ソリューションのデモ[クリックで拡大]
製造現場では、製品品質を確保するために色のバラツキや表面コーティングの確認などさまざまな検査を行っている。しかし、従来のカメラでは自動測定が難しい場合が多く、人の感覚による目視検査を行っている場合が大半である。ただ、人手不足が深刻化する中でこれらの検査工程の自動化や効率化が求められている。
セイコーエプソンが新たに開発した分光ビジョンシステムは、独自技術である「MEMS Fabry-Perot Tunable Filter」の搭載で高精度、小型化した分光カメラと、分光測定が可能なオフラインソフトウェア「Epson Spectroscopic Vision Tools」で構成。従来のカメラが点でしか正確な色を測定できなかったところを面での色測定を定量的に行えるようになる。さらに、検査の自動化を実現するインラインソフトウェアにより、自動生産ライン内に色検査を組み込み、工程全体での改善につなげることもできる。新たに開発した分光カメラは、幅49×高さ73.5×奥行き30mmで、重さ175gの小型サイズを実現し、製造ライン内の空きスペースにも簡単に設置できる。
新たに開発した分光カメラ[クリックで拡大]
iREX2022では、化粧品をイメージした色の少しずつ異なるブロックを分光ビジョンシステムで測定し、正しい色配列で並び替えるデモンストレーションを行った。「自動車やアパレル、化粧品、建機、外壁素材などさまざまな業種から関心はもらえている。完成品では製品の質感などがより求められるようになっており、これらの検査の高度化が求められる一方、効率化ニーズも高まっている。セイコーエプソンでは、ロボットなど自動化の各種機器も用意しているのでこれらを組み合わせた提案などにもつなげていきたい」(担当者)。
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