日立製作所は、「リテールテックJAPAN 2022」において、小型無人店舗のサービスコンセプト「CO-URIBA(コウリバ)」を披露した。「オフィスグリコ」を展開するグリコチャネルクリエイトの協力を得て、日立グループ社内での実証実験を進めており、2022年度内に事業化を目指している。
日立製作所(以下、日立)は、「リテールテックJAPAN 2022」(リアル展、2022年3月1〜4日、東京ビッグサイト)において、小型無人店舗のサービスコンセプト「CO-URIBA(コウリバ)」を披露した。「オフィスグリコ」を展開するグリコチャネルクリエイトの協力を得て、日立の丸の内地区拠点や日立チャネルソリューションズ(愛知県尾張旭市)、日立ドキュメントソリューションズ(東京都江東区)など、社内での実証実験を進めており、2022年度内に事業化を目指している。
CO-URIBAは、“小さなスペースを生かし、ともに売り場をつくりたい”というコンセプトから名付けられており、日立グループのさまざまなテクノロジーを組み合わせて実現した。展示システムは、日立LGデータストレージの顔認証機能を搭載した縦長のタッチパネル「AIインタラクティブディスプレイ」と2台の「3D LiDAR」に加えて、商品棚の各棚に組み込んだ重量センサーなどから構成されている。
ユーザーが店舗スペースに入る際には、AIインタラクティブディスプレイによる顔認証を行う。顔認証を終えたら、1台の3D LiDARを用いてそのユーザーの動線計測を行いつつ、もう1台の3D LiDARでユーザーの棚への手伸ばし検知も行う。これら3D LiDARの情報と、重量センサーの情報を組み合わせることにより、店舗スペース内に複数のユーザーがいても、誰が何を購入したのかを正しく判別できる。そして、ユーザーが店舗スペースから離れた時点で、顔認証の情報とあらかじめ連携してあるクレジットカード情報から自動精算することで、現金やスマートフォン、クレジットカードを持たない手ぶらでの買い物ができるという仕組みだ。また、顔認証情報の取り扱いについては、日立独自の特許技術「PBI(Public Biometric Infrastructure)」を活用することでセキュリティ対策を施している。


「AIインタラクティブディスプレイ」による顔認証の様子(左)。マスクを着けていても認証可能で、体温測定なども行える。顔認証後はアンケートを行うことなども可能だ(中央)。そのまま商品を取って店舗スペースから出るだけで自動精算される(右)。こちらのAIインタラクティブディスプレイは、デモ展示用に購入した商品を表示するために設置しており、実際の運用ではAIインタラクティブディスプレイは1台あればOK[クリックで拡大]CO-URIBAでは、各ユーザーの購買情報や行動ログを活用して、在庫管理の最適化や売れ筋商品の迅速な補充などが可能になる。各ユーザーの属性や購入商品、時間帯などの情報に加え、商品前でしばらく足を止めた、一度手に取ったものの購入に至らなかったなどの行動履歴を多角的に取得できるので、これらの消費行動の分析によるマーケティングの高度化にも役立てられる。さらに、AIインタラクティブディスプレイを用いたアンケートや、商品棚の上側に設置しているディスプレイを用いたリアルタイムなレコメンド機能などマーケティングを支援する機能なども検討しているという。
これまで、日立のリテールテックJAPANでのデモ展示は、独自技術である指静脈認証を用いることが多かった。
「小さなスペースを生かすというCO-URIBAのコンセプトに合わせてシンプルさを重視し、AIインタラクティブディスプレイによる顔認証を採用した。指静脈認証についても非接触型のデバイスを用意することでコロナ禍に対応しており、CO-URIBAでも活用できると考えている」(同社の説明員)という。
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