人手不足が大きな問題になる中で注目を集める「無人店舗」。「リテールテックJAPAN 2019」では、近未来の店舗の姿という位置付けで、各社が無人店舗やレジレスをイメージした展示を行った。
国内のサービス業を中心に人手不足が大きな問題になる中で、スーパーやコンビニの24時間営業を見直す動きなども始まっている。小売店舗における来店客への対応や、商品の補充を人が行っている以上、働く人がいなければその時間帯に営業を続けることができないのは自明のことだ。
セルフレジの導入など、さまざまな形で小売店舗における省力化が進められている中で注目を集めているのが「無人店舗」だ。その代表例となるのが、Amazon.comが米国内でテスト店舗を展開する「Amazon Go」だろう。棚から商品を取って袋に詰め、店外に出るだけで商品の購入が完了するレジレスの店舗だ。商品の補充や陳列は人が行っているので完全に無人の店舗というわけではないが、無人店舗に向けた第一歩といえる。
流通業のサプライチェーンとマーケティングを進化させるIT機器・システムを紹介する展示会「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)では、近未来の店舗の姿という位置付けではあるものの、各社が無人店舗やレジレスをイメージした展示を行った。本稿では、NEC、日立製作所、日本マイクロソフト、東芝テック、ヴィンクスの展示を紹介する。
NECは、同社が得意とする顔認証技術を活用した「未来を創る無人販売店舗」を展示した。来店客はあらかじめ顔情報を登録しておけば、入場ゲートで顔認証により入店できる。商品棚には来店客を認識するカメラと、商品の棚からの出し入れを認識するカメラが設置されている。また、棚に陳列された各商品の下には重量センサーがあり、棚から出された商品の個数をカウントする仕組みになっている。
棚から購入する商品を取ったら、出場ゲートの前でいったん購入内容を確認する。確認が終わって出場ゲートから出る際にも顔認証が行われ、顔情報とひも付けたクレジットカードなどによる決済が行われる。「無人店舗の展示で重要なのは、商品が手に取られた回数や、実際に購入された回数などの統計を取って、商品陳列の工夫などに活用できる点にある」(NECの説明員)という。
出場ゲートの後にあるのが、宅配便の受け取りを無人で行えるシステムだ。宅配便の到着をスマートフォンアプリなどで通知された来店客は、QRコードを使って宅配便の取り置いている倉庫に入室する。入室時には、倉庫内における自分の荷物の置き場所や、荷物番号などが通知される。「倉庫内には似たような外観やサイズの荷物が多い。そこでアプリの機能で、荷物に貼り付けられた番号を認識して、正しい荷物を見つけられるようにした」(同社の説明員)。また、倉庫内から出るときには、室内にあるボタンを押せばよい。ただし、室内にあるカメラで持ち出す荷物の番号を認識しており、異なる荷物を持ち出そうとするとスマートフォンに「受け取った荷物が間違っています」という通知が出て、倉庫内から出られないようになっている。
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