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» 2022年02月28日 09時00分 公開

革新的企業トップ100初受賞のキオクシア、「単なる特許の大量取得ではない」知財ニュース

クラリベイト・アナリティクス・ジャパンは2022年2月24日、同社が保有する企業の特許データを基に、革新的な企業/機関を表彰する「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2022」の結果を発表した。選定の評価指標の変更などにより、日本企業の受賞社数が増加した。

[池谷翼,MONOist]

 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン(以下、クラリベイト)は2022年2月24日、同社が保有する企業の特許データを基に、革新的な企業や機関を表彰する「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2022」の結果を発表した。選定の評価指標の変更などにより、日本企業の受賞社数が増加した。

日本企業は35社が受賞

 Clarivate Top 100 グローバル・イノベーターはクラリベイトが2012年から毎年開催しているアワードである。知的財産の動向分析を基に、科学技術分野で革新性の高い取り組みを行っている企業を独自の基準で選定し、トップ100に入賞した企業を表彰する。

Clarivate Top 100 グローバル・イノベーターの概要[クリックして拡大] 出所:クラリベイト

 選定は、2000年以降に500件以上の特許出願を行っており、かつ、2016年から2020年までの5年間で100件以上の特許登録を行った企業を対象に行う。企業のグローバルな活動規模などを考慮した係数を算出した上で、特許の引用件数などを表す「影響力」、特許出願の地理的保護範囲の広さを表す「グローバル性」、特許資産が存在する国の経済規模を表す「成功率」、そして発明に使われた技術の希少性などを考慮する「技術分野の広さ」の4指標と併せて評価する。この内、「技術分野の広さ」は2022年から新しく追加された指標である。

Clarivate Top 100 グローバル・イノベーターの概要[クリックして拡大] 出所:クラリベイト

 今回、トップ100に入賞した企業の内、日本企業はAGC、ブラザー工業、キヤノン、デンソー、ファナック、富士フイルム、富士通、日立製作所、本田技研工業、キオクシア、小松製作所、コニカミノルタ、京セラ、三菱電機、三菱重工業、村田製作所、NEC、日東電工、オリンパス、オムロン、パナソニック、リコー、SCREEN ホールディングス、セイコーエプソン、シマノ、信越化学工業、ソニーグループ、住友化学、住友電気工業、TDK、東京エレクトロン、東芝、トヨタ自動車、ヤマハ、矢崎総業の35社だった。この内、キオクシアとコニカミノルタ、SCREEN ホールディングス、シマノ、住友化学は初受賞となる。

今回の日本受賞企業[クリックして拡大] 出所:クラリベイト

 日本の受賞企業は前年から6社増加し、2021年に最も受賞企業の多かった米国(2022年は18社受賞)を抜いた。日本の受賞企業が増加した要因について、クラリベイト・アナリティクス・ジャパン 代表取締役 櫻井諭氏は「評価指標に新しく『技術分野の広さ』を新しく追加したことが影響している」と説明した。

国や地域別に見た受賞企業数の内訳[クリックして拡大] 出所:クラリベイト

キオクシアの知財戦略とは

 説明会では、今回初受賞となったキオクシアが、同社が展開する半導体分野の知財戦略について解説した。

 キオクシア 知的財産部長 初見通仁氏は「キオクシアでは企業競争力の確保のために、従業員一人一人に積極的な特許取得を奨励している。製品の機能、回路、デバイス構造、生産方法などに関わるさまざまなカテゴリーの発明が社内でなされている。メモリチップの発明活動は物理的構造やウェハーの加工方法など、特に幅広い内容を含む。広範かつ多様な技術から事業の卵を生み出せるようにしている」と説明した。

キオクシアの初見通仁氏 出所:クラリベイト

 また、半導体業界における知財の現状については、「企業の統廃合に伴い余剰資産として知財が売却されるケースがあり、それによって特許紛争がさらに増加することもある」(初見氏)と指摘する。この中で、キオクシアは知財ポートフォリオの強化や機密情報の管理、知財インテリジェンスの強化に取り組んでいるという。

 キオクシアの顧客や競合企業の多くは海外にあるため、海外での特許出願の重要性も意識している。同社が2020年度に米国で実施した特許出願の件数は、日本での件数を超えている。また、中国や台湾における出願件数は、日本国内の件数の約40%に相当する。

 キオクシアでは単に特許を大量取得するだけではなく、特許紛争を常に意識して、特許品質管理を行ったポートフォリオ構築を心掛けているという。初見氏は「当社は過去に大型訴訟を経験したこともある。そのため、経営企画や法務、営業部門などと知財部門が緊密にコミュニケーションを取り、半導体、知財、法曹界の動向を常にウォッチしている」と語った。

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