今回は剛性最大化、つまり平均コンプライアンス最小化を目的として、設計パラメータρを求めます。ρは要素ごとに設定されますので、要素数neだけあります。最適化される設計パラメータは式22で表現できます。
これから、それぞれのρiが設計物の剛性にどの程度影響を及ぼすかの指標、つまり感度を求める必要があります。
感度が高ければ少しのρiの変化で剛性が大きく変わるので、剛性最大化のためにはρiは大きな値にすべきです。一方、感度が低ければρiを変化させても剛性が変わらないので、ρiは小さな値にして体積削減を狙えばよいことになります。
繰り返しになりますが“コンプライアンスは剛性の逆数”です。例外を除き、普通の有限要素法ソフトは、個別の要素の感度を出力してくれません。LISAを使って感度を求めることができるでしょうか。次回はこの辺を詳しく述べたいと思います。 (次回へ続く)
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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