CC-Link協会(CLPA)は、「IIFES 2022」(リアル展、2022年1月26〜28日、東京ビッグサイト)に出展し「CC-Link IE TSN」普及の進捗度をアピールした。新たに製品化の事例などをパネル出展した他、現実的な使い方をイメージしたデモ展示を披露した。
CC-Link協会(CLPA)は、「IIFES 2022」(リアル展、2022年1月26〜28日、東京ビッグサイト)に出展し「CC-Link IE TSN」普及の進捗度をアピールした。新たに製品化の事例などをパネル出展した他、現実的な使い方をイメージしたデモ展示を披露した。
TSN(Time Sensitive Networking)を産業用ネットワーク規格内に取り込んだCC-Link IE TSNは、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できる点が特徴となっている。特に時分割機能により同一幹線上で異なる複数のネットワークが混在可能である点や、タイムスタンプを自動付与できる点などから、IoT(モノのインターネット)活用が広がる工場内の新たなネットワーク基盤として注目されている。また、ソフトウェアプロトコルにも対応し、IPCへの搭載など、実装の自由度を高めたことも評価を受けているという。
CLPAでは、このCC-Link IE TSNを2018年11月に発表し、積極的な普及活動に取り組んできた。今回のIIFES 2022では、ここまでの取り組みをベースに以前から紹介してきた“CC-Link IE TSN対応製品”だけでなく、これらの対応製品を実装した最終製品の市場投入へとフェーズが進んでいることをアピールした。
事例としてパネル展示されたのは、1つは写真化学の大型セラミックス3Dプリンタ「SZ-6000」での採用だ。高精細品質を維持しながら量産を実現したセラミックス3Dプリンタで、ピッチサイズ10〜200μmで積層する他、描画ドットサイズ21.6μm、描画制御ピッチ0.9μmという微細な造形を実現している。これらの高速高精度を実現しながら、省配線や小型化などを実現するためにCC-Link IE TSNを採用したという。
また、台湾のORISOLでは、靴素材の表面活性化を行う極速活性化装置のコントローラーにCC-Link IE TSNを採用している。従来採用していた通信規格に対し通信速度が大幅に速い点と、IP通信との混在により装置および装置周辺情報を遠隔監視可能できた点などを評価されたという。
CLPA 事務局長の川副真生氏は「CC-Link IE TSNへの対応製品を着実に広げるとともに、最終製品や工場などで実際に使われて効果が出ているところを示していくことが重要だと考えている。ようやく製品としての事例も出始めてきた。さらに広げていく」と力を込める。
これらを背景に、メインデモ機も実際の用途を想定した現実的なものとした。包装機器をイメージし、2つのPLCマスターを採用した機器構成で、フィルムの蛇行補正や位置決め制御などを正確なタイムスタンプを生かして、高精度で同期しながら行った。また、同時にこれらの同一配線上にIPカメラによる映像情報も流し、高精度制御に影響を与えずに複数データが送れるCC-Link IE TSNの特徴を示した。
川副氏は「CC-Link IE TSNでできることというのはかなり具体的に示せるようになってきている。最終製品としての実績も徐々に増えてきており、今後は工場内で実際に導入による価値がどう出ているかという成果を示していけるようにしたい」と今後の抱負について述べている。
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