産業用オープンネットワークのCC-Link IEを推進するCC-Link協会と、PROFINETを推進するPROFIBUS&PROFINET Internationalは、相互接続技術を共同で開発することを発表した。
CC-Link協会(CLPA)とPI(PROFIBUS&PROFINET International)は2015年12月1日、それぞれのネットワーク規格の普及拡大に向け、CC-Link IEとPROFINETの相互接続技術を共同開発することを発表した。
CLPAは三菱電機が開発したCC-Link、PIはシーメンスなどが開発したPROFIBUSの推進を基盤としてそれぞれのネットワーク規格の普及を目的に生まれた団体で、従来は厳しい競合関係にあった。しかし、ドイツ連邦政府が推進するインダストリー4.0や産業用IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の普及が広がりを見せる中「それぞれのネットワークだけで戦っている時代ではない。個々では顧客企業の要望にも応えられないようになってきた」(CLPA 事務局長 中村直美氏)とし、今回の共同開発の合意に至ったとしている。
今回の共同開発の内容は、CC-Link IEとPROFINETにおける、それぞれの機器やネットワークシステムの相互接続を可能とするゲートウェイの技術仕様書を策定するというものだ。
産業用オープンネットワークは世界中でさまざまな企画が乱立している状況だが、ある産業用ネットワークで構築した生産ラインに、産業用ロボットや製造装置を接続するためには、その産業用ネットワークへの対応が必要だった。「そのため、機器のスペックは同じだが、産業用ネットワークだけを入れ替えて開発するような手間が顧客企業には発生していた」とPI議長のカルステン・シュナイダー(Karsten Schneider)氏は話す。
また、機器の開発を行わない場合でもゲートウェイを独自で開発して接続する必要があった。ただ、これらは接続用にそれぞれの協会が推奨したものではないため「ネットワーク側から取りたい機器のデータが取れないなど、不便な状況がさまざまな場面で発生する場合があった。また、開発コストも必要になっていた」(中村氏)と不自由だった状況について説明する。
今回の共同開発ではこれらの不便な状況を解消することを目指す。具体的には2つのゲートウェイソリューションの開発を検討している。1つ目が異なるネットワークで構築された装置間の接続を実現する「Coupler」と異なるネットワーク機器との接続を目指す「Link」である。このゲートウェイを通すことで、PROFINETで構築した生産ラインに自由にCC-Link IEで開発された機器が接続可能とすることを目指す。
具体的には2016年1月から共同ワーキンググループによる開発を開始。2016年11月までに技術仕様書の策定を完了させる計画だ。中村氏は「基本的には2つのゲートウェイの技術仕様書を完成させるつもりだが、優先順位としてはニーズの高いCouplerを優先させる。また、実際の機器が出てくるのは技術仕様書が策定された後、ゲートウェイベンダーが開発を行うことになり、2017年以降となる」と述べている。
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