「産業オープンネット展2019 東京」では、次世代の産業用ネットワーク規格として注目を集めている「TSN」関連の展示が幾つかあった。本稿ではTSN関連の展示の中から、図研エルミック、B&R、マクニカの展示内容を紹介する。
「産業オープンネット展2019 東京」(2019年7月30日、大田区産業プラザPiO)では、次世代の産業用ネットワーク規格として注目を集めている「TSN」関連の展示が幾つかあった。【訂正あり】
TSNは、Time Sensitive Networkingの略で、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格だ。次世代規格としてさまざまな特徴を備えるだけでなく、さまざまな規格が乱立する産業用ネットワークを1つにまとめられることもあって大きな期待を集めている※1)。
※1)関連記事:スマート工場の“障壁”破る切り札か、異種通信を通す「TSN」の価値
本稿ではTSN関連の展示の中から、図研エルミック、B&R、マクニカの展示内容を紹介する。
図研エルミックは、CC-Link協会(CLPA)が2018年11月に仕様を発表したTSN対応規格「CC-Link IE TSN」向けのソフトウェア開発キット(SDK)「Ze-PRO CC-Link IE TSN」を披露した。
産業オープンネット展2019 東京ではCLPAも出展し、CC-Link IE TSN関連の展示を行っている※2)。また、CLPAで主要な役割を果たしている三菱電機からは、CC-Link IE TSNの対応製品がいち早く発表されている。これらの製品は、CC-Link IE TSNをハードウェア実装することにより、時刻同期精度が±1μs以下などの仕様をクリアする「Class B」に準拠している。
※2)関連記事:制御信号と映像信号を同時に通す省配線化、「CC-Link IE TSN」の価値を訴求
一方、Ze-PRO CC-Link IE TSNは「Class A」に準拠するシステムを開発するためのSDKだ。Class Aの場合、Class Bほどの厳しい仕様は求められらない一方で、より安価な汎用ボードを使ってCC-Link IE TSNに準拠するハードウェアを開発できる。CC-Link IE TSN 規格準拠のプロトコルスタック(ソースコード)とサンプルアプリケーションで構成されるZe-PRO CC-Link IE TSNを使えば、CPUやOSに依存しないさまざまな構成のシステムを開発できる。また、三菱電機エンジニアリングとの連携により、製品開発からコンフォーマンス試験、試作、量産に至るまで、ソフトウェア、ハードウェアの両面からユーザーをサポート体制も整備している。
展示では、CC-Link IE TSNでサーボモーターのコントローラーと、Ze-PRO CC-Link IE TSNのスレーブ向けとなる「Ze-PRO CC-Link IE TSN(Remote)」を組み込んだ汎用ボードを接続して、光電センサーの極間を手で遮ると即座にサーボモーターが停止するデモを披露した。時刻同期精度は約4msを実現している。
【訂正】初出時は「放電センサーの極間を手で遮ると」としておりましたが「光電センサー」の誤りでした。本文は修正済みです。
なお、図研エルミックは2019年内をめどに、Ze-PRO CC-Link IE TSNのマスター端末向けとなる「Ze-PRO CC-Link IE TSN(Master)」の開発を進めている。
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