一方で、新たな取り組みとして、製造業の脱炭素化を支える情報基盤の提供を開始する。新たに提供するのは、サプライチェーンや製品ライフサイクルに応じてカーボンフットプリントの情報を統合収集できるソフトウェアと一連のサービスを組み合わせた「SiGreen」というソリューションだ。2021年にドイツで発表され現在は一部の企業での試験導入を通じて現在詳細な仕様を固めているところだという。2022年夏ごろに正式リリース予定だとしている。
スペックの詳細は明らかにされなかったが、コンセプトとしては、ITおよびOTを統合したダッシュボードで、リアルな情報を基に、サプライチェーンを通じた信頼性の高いプロダクトカーボンフットプリントを効率的に要求、計算、交換する仕組みだとしている。また、情報収集には、さまざまな標準化規格を活用し、相互運用可能にすることで、業界に関係なく、パートナーと製品カーボンフットプリントデータを送受信できるようにする。一方で、機密性と信頼性を確保するために、分散型台帳技術(DLT)を組み込み、サプライチェーンの機密性とデータ主権に対する各パートナーのニーズを満たしながらデータ収集を行えるようにするという。
同時にシーメンスでは、製品カーボンフットプリントデータをメーカー、サプライヤー、顧客、パートナーが交換できるように、業界横断型のオープンな「Estainiumネットワーク」を立ち上げており、これらのネットワークによる情報を「SiGREEN」で収集することで、プロダクトベースの正確なカーボンフットプリント情報を把握できるようにする。
シーメンス デジタルインダストリーズ ビジネスディベロプメント部長の鴫原琢氏は「今は欧州を中心に実証を進めているところだが、日本でも既に複数社に提案している。現状は付随するサービスなども検討中の段階だが、製品のカーボンフットプリントを測定するとなると、生産ラインでのカーボンフットプリントの測定も行う必要があり、生産設備との連携なども必要となる。また、プラントのユーティリティー情報をどう取るかも難しい。そういう仕組みも機器やソフトウェア連携なども取り込む形で提供できるようにしたい」と現状について述べている。
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