シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは、オンラインイノベーションカンファレンス「Realize Live Japan 2021」(会期:2021年7月14日)に併せ、記者説明会を開催。最新の業界トレンドおよび日本市場における同社の戦略や取り組みについて説明した。
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは2021年7月14日、オンラインイノベーションカンファレンス「Realize Live Japan 2021」の開催に併せ、記者説明会を実施。同イベントに登壇したSiemens Digital Industries Software プレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)のトニー・へミルガ(Tony Hemmelgarn)氏の基調講演を踏まえ、シーメンス(日本法人) 代表取締役社長 兼 CEO/シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア(同) カントリーマネージャーの堀田邦彦氏と、Siemens Digital Industries Software シニアバイスプレジデント 兼 APAC担当マネージングディレクターのBas Kuper(バズ・クーパー)氏が、最新の業界トレンドおよび日本市場における同社の戦略などを説明した。
まず、堀田氏はシーメンスおよびシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが現在、日本市場に向けて第4次産業革命の核となるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援する中、「シーメンスはIT(情報技術)とOT(制御技術)の双方において、ソフトウェア/ハードウェアを包括的に提供できる唯一の企業である」(堀田氏)という強みを生かし、企業のデジタル化の実現に向けたソリューションサービスを展開していると強調する。また、日本のモノづくりにおいては、エンジニアリングチェーンの強化を支えるPLM(Teamcenter)、MOM(Opcenter)、IoT(MindSphere)などのポートフォリオを生かし、顧客企業の事業力(稼ぐ力)の強化にも注力しているという。
デジタル化の波は日本のあらゆる産業で、現在進行形で取り組みが進んでおり、デジタル化への意欲は企業規模にかかわらず高い状況にある。だがその一方で、どこからどうやって始めたらよいか分からないという企業も多い。そうした企業に対して「われわれは単にソフトウェアを提供するだけではなく、コンサルティング、ソリューションサービスも展開している。今までのモノづくりをどのように変えていくべきか、あるいは今までのモノづくりと新たなツールをどのように組み合わせるべきかなど、包括的な解決策を提供している」(堀田氏)という。具体的には、企業のデジタライゼーションを支援する、ソフトウェア、サービス、アプリケーション開発プラットフォームの統合ポートフォリオ「Xcelerator」を展開している。
説明会の同日、新たな展開(採用事例)として、デンソーがシーメンスおよびシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのソフトウェアとサービスを、次世代のモデルベース開発(MBD:Model Based Development)の技術基盤として採用したことを発表した。シーメンスはデンソーのMBDプロセスとそれを支えるシステム開発を同時に支援し、自動車製品設計のDX推進に貢献したという。
一方、顧客企業目線でのデジタル化への取り組みについて堀田氏は、「デジタル化の大きな青写真を描くことも重要だが、まずは緊急性の高い所、ボトルネックとなっている部分からデジタルによる改革を進めることが重要だ。そこから広げていき、最終的に全体的なデジタル化を目指すべきだ」と、これまでの経験を踏まえた考えを示す。そして、クーパー氏も「デジタル化を推進するには技術課題をクリアするだけでなく、組織変革が鍵となる。非常に強固なデジタル戦略が必要になると同時に、その旅路(ジャーニー)をともに歩み、ガイドしてくれる最適なパートナーを見つけることが不可欠だ」と述べる。
さらに、堀田氏は「シーメンス単体で顧客企業のDXを実現、確立できるとは考えていない。やはり、パートナー企業の協力を含めたトータルソリューションで顧客企業のDXを支援することが重要だ」と述べる。ここ最近の大きな展開としては、SAPとの提携、そして、富士通やNECとの協業などが挙げられる。また、その以前からシーメンスとともにPLM市場の拡大などに努めてきたパートナー企業ともさらなる協業を進めながら顧客企業のDXを推進していくという。
その他、注目の話題としては、SaaS(Software as a Service)戦略の強化が挙げられる。同社は今後、クラウド/SaaSでのソリューション提供や機能の拡充を図っていくとしている。ただし、オンプレミスでの利用を前提とした従来型の提供方式も継続するとしており、「われわれが特定の方向性を顧客に強要することはせず、顧客自身がSaaSの価値を見いだしたときに、SaaSでの利用を検討してもらえればと思う。ただ、日本市場でもサブスクリプション方式によるソフトウェア利用が拡大しているため、今後SaaSソリューションの普及も加速するとみている。クラウド/SaaSでの機能の充実を図りつつ、今まで通りの選択肢も用意するというのがわれわれの戦略だ」(クーパー氏)。
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