Siemens Digital Industries Softwareが開催したプレス・アナリスト向けイベント「Siemens Media and Analyst Conference 2019」では、HPとの協業で進めてきた3Dプリンティングに関する取り組みが紹介された。
Siemens Digital Industries Softwareは、米国ニューヨークでプレス・アナリスト向けイベント「Siemens Media and Analyst Conference 2019」(2019年9月3〜6日、現地時間)を開催。同イベントの中で、企業の競争優位性を実現する要素の1つである「Comprehensive Digital Twin」に関し、パートナー企業とともに実際に効率化を果たした事例として、HPの取り組みを紹介した(関連記事:シーメンスの産業用ソフトとMendixを統合し、企業のデジタル変革を加速する「Xcelerator」)。
HPは、同社のハイエンド3Dプリンタ「HP Jet Fusionシリーズ」の開発において、自らの3Dプリンティング技術を活用し、HP Jet Fusionシリーズの性能改善を図っているという。ご存じかもしれないが、HPでは同社の3Dプリンタ(HP Jet Fusionシリーズ)で造形したパーツを製品に活用する取り組み(HP on HP)を積極的に勧めている(関連記事:後発でも勝負できる! HPの3Dプリンティング事業が目指すもの)。
具体的には、設計、シミュレーション、3Dプリンティング、パフォーマンス分析などにおいてデジタルツインを構築し、各プロセスにおいて生み出されるデータを、デジタルスレッド全体で活用することで、大きな効果が得られたとする。
これにより、同社はHP Jet Fusionシリーズのプリントヘッドの冷却機構(ダクト部品)の開発において、もともと6点で構成されていたものを3Dプリントで一体造形することでパーツコストを34%以上削減し、開発スピードを75%向上させた。さらに、流体解析(CFD)の結果を設計にフィードバックすることで形状の最適化(トポロジー最適化)を図り、プリントヘッドの冷却効率が22%以上向上、それに伴い造形スピードも約15%改善したという。
この取り組みを支えているのが、SiemensとHPのパートナーシップにより実現した、アディティブマニュファクチャリング領域におけるエンドツーエンドの枠組みである。
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