豊田自動織機とシーメンスは2021年4月12日、カーエアコン用コンプレッサーのアルミダイカスト工程において製品不良を予測するAIを開発したと発表した。
豊田自動織機とシーメンスは2021年4月12日、カーエアコン用コンプレッサーのアルミダイカスト工程において製品不良を予測するAI(人工知能)を開発したと発表した。
アルミダイカストは、溶融アルミニウムを金型に圧入し、短時間で成形する製法だ。高い寸法精度の鋳物を正確に製造することに適しているため、高品質、高信頼性が求められる自動車用部品に多く用いられている。ダイカスト工程は、溶融アルミニウムの温度や射出速度などの製造条件が刻一刻と変化することから、管理が難しく、高い品質を維持するには、熟練作業者の判断や、加工後のさまざまな対策が欠かせない工程となっている。
今回、豊田自動織機とシーメンスは、モデルラインにおいて、ダイカストの射出1回当たり約4万点のビッグデータを、シーメンスの制御装置「Simatic S7-1500」で収集し、AI技術を活用して解析を行った。これにより、生産状況のリアルタイム監視を行い、品質問題の要因となる設備異常を自動予測することで、不良品の発生を防ぎ品質を向上させることに成功した。さらに、取得した製造データをシーメンスの産業用エッジコンピューティングプラットフォームである「Industrial Edge」上で動作する不良予測AIで処理することで、射出時の製造条件データを瞬時に解析し、良品と不良品の判断を鋳造直後に行えるという。
今回の協業は、モノづくりの基盤をなすダイカスト工程において、Industrial Edgeで生産性向上への貢献を図りたいシーメンスと、品質のさらなる向上および生産性向上を実現したい豊田自動織機の狙いが一致したことから開始。約2年間の実証により成果に結び付けた。
豊田自動織機では、今回の取り組みをモノづくりにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の先進事例とし、今後さらに技術を進化させ、国内外の工場への展開を進めていく方針を示している。
シーメンスがエッジコンピューティングの本格展開を日本で開始
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