製造の取り組みで紹介したのが、自社創成モノづくりデータマイニングシステム「DAIMON」である。品質/生産トラブルを起こさず、より良い品質の医薬品を患者に届け続けるモノづくりの高度化を目指して、2013年に検討、2015年に開発を開始し、2018年から実装している。「スマートファクトリーやAI活用とは異なるが、先進的な取り組みだと自負している」(須田氏)という。
機能としては、工程管理や品質試験だけでなく原料特性や製造パラメータまで全てのデータの変化をモニタリングする「一変量モニタリング」の他、例えば水への溶けやすさが粒子の大きさや硬さと関連するように、研究開発段階で蓄積された既知の関係を用いる「因果・回帰関係モニタリング」を適用している。現在開発中の「多変量モニタリング」では、モデルを基に多変量の変動を効率的かつ効果的に検出し、未知の関係を見いだしてリスク予測や未然検知などが可能になるという。また、これらは主に低分子の化学物質を対象にして行われてきたが、これらのノウハウをバイオ医薬品の製造にも展開したい考えだ。
これらの他、各国・地域でさまざまな仕様で運用されていたSAPのERPについて、全社横断で統合する基幹業務プラットフォーム「Apple」では、SAPのバージョンアップとクラウド移行、グローバル統合、業界標準適合、アウトソースといった4つのフェーズに分けて進めるのが一般的なところを、1度のスキームで完了させたという。2017年から始まったこの取り組みは、2021年末時点で日米欧の3極で導入を完了し、稼働を開始している。須田氏は「全てのトランザクションがグローバルで一つにまとまるので、今後のデータ駆動型経営に活用していき」と述べている。
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