純国産金属3Dプリンタの技術体系の確立に向けて産学4者が共同研究を始動3Dプリンタニュース

島津産機システムズ、エス.ラボ、第一セラモの装置/部材メーカー3社と、近畿大学 次世代基盤技術研究所は、材料押し出し積層(MEX)方式の金属3Dプリンタによる金属、セラミックス部品の開発技術の革新を目的とする共同研究を開始した。

» 2022年01月06日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 島津産機システムズ、エス.ラボ、第一セラモの装置/部材メーカー3社と、近畿大学 次世代基盤技術研究所は2021年12月24日、材料押し出し積層(MEX:Material EXtrusion/FDMやFFFと呼ばれる材料溶融積層と同義)方式の金属3Dプリンタによる金属、セラミックス部品の開発技術の革新を目的とする共同研究を開始したことを発表した。

 現在、日本における金属3Dプリンタを取り巻く環境は、海外製の装置および原材料が多く流通していることから「導入/利用コストが高い」「アフターサービスが不十分」「日本の需要に即した製品が少ない」といった課題があるという。

 こうした状況を踏まえ、今回の共同研究では4者が産学それぞれの専門性を持ち寄ることで、MEX方式の純国産金属3Dプリンタの技術体系の確立を目指す。また同時に、有機溶剤を使用しない方法の実現も目指しており、環境に配慮した金属3Dプリンタの普及にも貢献したい考えだという。

近畿大学 次世代基盤技術研究所 特任教授の京極秀樹氏 近畿大学 次世代基盤技術研究所 特任教授の京極秀樹氏

 共同研究で4者が目指す金属3Dプリンタの加工工程は、材料に第一セラモの3Dプリンタ用コンパウンド(ペレット状)を用いて、エス.ラボの金属3Dプリンタ「GEM200DG」で造形し、島津産機システムズの小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」で焼結する流れとなる。そして、装置/部材メーカー3社の技術を融合、最適化していくために、金属3Dプリンタの権威である近畿大学 次世代基盤技術研究所 特任教授の京極秀樹氏が研究全体の評価および指導を行う。

 MEX方式の金属3Dプリンタは、金属粉末を混ぜた樹脂材料を熱で溶かしながらノズルから吐出し、積層していくことで目的の立体形状を造形する。そして、造形完了後、脱脂/焼結処理を施すことで、樹脂が取り除かれた金属焼結体(最終的な金属の造形物)となる。

 MEX方式の場合、金属3Dプリンタで主流の粉末床融解結合(PBF:Powder Bed Fusion)方式よりも装置の構造をシンプルにでき、造形スピードが速く、大きな造形物にも対応可能であるため、試作品のみならず実部品の製造にも適している。ただし、現在、産業界で幅広く活用が進んでいるのはPBF方式であることから「今回の共同研究によってMEX方式の金属3Dプリンタをできるだけ早く、PBF方式と同じくらいのレベルにまで引き上げていきたい」(近畿大学 京極氏)という。

島津産機システムズの小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」 島津産機システムズの小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」[クリックで拡大] 出所:島津産機システムズ

 共同研究では、材料については、第一セラモが中心となり金属3Dプリンタによる造形性、脱脂および焼結性を両立した材料設計を進め、コンパウンドの改良や試作に取り組む。装置本体を担当するエス.ラボは、同社が特許を保有しているギヤポンプ制御システムによる高精度な吐出制御技術によって研究に貢献するとしている。また、難易度が高いといわれる脱脂、焼結については専門知識がなくても扱える脱脂焼結炉として島津産機システムズが開発したVHS-CUBEを活用していく。

 4者は共同研究を効率的に進めるため、それぞれの拠点に装置および部材を配備し、材料ごとの最適な処理条件の探求、金属3Dプリンタシステムの改良などに取り組み、誰でも容易に金属3D造形品を生産できるノウハウの確立を目指す。

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