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» 2021年12月22日 07時30分 公開

旭化成のDX戦略は展開期から創造期へ、全従業員4万人がデジタル人材に第4次産業革命の現在地(3/3 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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「デジタル創造期」の先行事例は「Asahi Kasei Garage」

 2022〜2023年度の「デジタル創造期」は、DXによって無形資産の価値化など新しいビジネスモデルや新事業の創造が求められる。

 その先行事例となるのが「Asahi Kasei Garage」である。デザイン思考やアジャイル開発を基にしたイノベーション創出やDXのためのアプローチ手法である「Garage」を実行、推進するチームであり、従来の手法にとどまらない新しい仕組みによる新事業創造を目指している。現時点では、14のプロジェクトが進行中である。

「Asahi Kasei Garage」はデザイン思考やアジャイル開発がベース社内外と共創しながら新たな価値創造を目指す 「Asahi Kasei Garage」はデザイン思考やアジャイル開発がベースとなっている(左)。社内外と共創しながら新たな価値創造を目指す(右)[クリックで拡大] 出所:旭化成

 Asahi Kasei Garageの事例としては、「誰もが」「いつでも」データにアクセスできるインフラとして構築している全社共通のデータマネジメント基盤がある。各種データを活用したダッシュボードをポータルサイトで共有し、データの利活用推進に役立てているという。

 社外向けでは、ヘーベルハウスに設置した地震計と国土地理院の地盤データを防災・減殺に役立てる先進防災システムが「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」ある。東京23区内のヘーベルハウスは、2km四方のメッシュとなるように地震計を設置しており、これと国土地理院の50m四方メッシュの地盤データを組み合わせることで、東京23区内約4万棟のヘーベルハウスの地震による被害を推定できる。

全社共通のデータマネジメント基盤LONGLIFE AEDGiS 「Asahi Kasei Garage」の事例。全社共通のデータマネジメント基盤(左)と「LONGLIFE AEDGiS(右)[クリックで拡大] 出所:旭化成

 また、「デジタル創造期」の社会変革に貢献する2つの技術も取り上げた。1つは「複製できない真贋判定ラベル」で、微細な金属メッシュを持つ透明ラベルとブロックチェーンを用いたデータベースの組み合わせにより、偽造品の流入を防止し、真正品だけを消費者のもとに届けるサプライチェーンに実現に貢献する。2022年夏にサービスをリリースする予定だ。

「デジタル創造期」に向けた「複製できない真贋判定ラベル」 「デジタル創造期」に向けた「複製できない真贋判定ラベル」[クリックで拡大] 出所:旭化成

 もう1つは、ブロックチェーンを活用したプラスチック資源循環デジタルプラットフォーム「BLUE Plastics」の開発プロジェクトだ。ポリエチレン製溶剤容器のケミカルリサイクルに向けて、旭化成を含めて16社が参加するコンソーシアム「BLUE Plastics Salon」によって推進されている。

「BLUE Plastics」の概要「BLUE Plastics」のコンソーシアム活動 「BLUE Plastics」の概要(左)とコンソーシアム活動(右)[クリックで拡大] 出所:旭化成

 これらの他にも、カーボンフットプリントの最小化や、旭化成発祥の地である延岡(宮崎県延岡市)の健康長寿プロジェクトなどでもデジタル技術を取り入れているという。

 久世氏は「日本の化学産業は世界をリードしているが、IT化、デジタル化で遅れているため強みを出し切れていないのではないか。このままでは、強力な日本の化学産業が弱まってしまいかねない。現在の競争優位をさらに高めるためにもDXは必須だ」と、旭化成にとどまらず、化学産業におけるDX戦略の重要性を訴えた。

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