今後の日系企業の世界生産額におけるシェア向上で期待がかかるのが、今回調査結果を発表したカーボンニュートラルの実現に向けた「グリーン×デジタル」だ。
IEA(国際エネルギー機関)による2050年のカーボンニュートラル実現のためのロードマップと各国政府の脱炭素計画に基づくSTEPS(公表政策シナリオ)予測のギャップからは、2030年にはさらに151.2億トンのCO2排出を削減する必要があることが計算されている。このうち、再生可能エネルギーなどの創電で66.1億トンのCO2排出削減が期待されているため、残りの85.1億トンは創電以外によってCO2排出削減を実現する必要がある。そのためにデジタル技術を活用するのが「グリーン×デジタル」のコンセプトだ。
そこでJEITAは、脱炭素に貢献できるデジタル分野として「EV・自動運転」「ITリモート」「エネルギーマネジメント」「スマート農林業」「社会インフラモニタリング」の5分野について調査を行った。2030年におけるこれら5分野のCO2排出削減ポテンシャルは55.9億トンで、先述した削減目標85.1億トンの66%に当たる。なお、5分野の内訳は、「EV・自動運転」が18.1億トン、「ITリモート」が22.2億トン、「エネルギーマネジメント」が8.2億トン、「スマート農林業」が6.7億トン、「社会インフラモニタリング」が0.7億トンとなる。
そして、これらデジタル5分野の世界需要額は2030年に334.9兆円となり、2020年から年平均14.4%で成長していく見通しである。また、日本における年平均成長率も13.9%となり、需要額は2025年に8.1兆円、2030年には16.3兆円となる見通しである。
JEITAも、この「グリーン×デジタル」による国内産業の拡大に注力しており、2021年10月に、企業のカーボンニュートラル化の促進と産業および社会の変革につながる新たなデジタルソリューションの創出や実装に向けた活動を推進する場となる「Green x Digitalコンソーシアム(グリーン×デジタルコンソーシアム)」を設立している。参加社数は発足当初の56社から現在は85社まで増えている。「カーボンニュートラルに関わる国際的なルール策定をリードできるように活動していく。再エネ調達の選択肢の拡大や、再エネ指標の設定などにも貢献したい」(綱川氏)という。
また、綱川氏は、需給が逼迫(ひっぱく)している半導体について「徐々に解消する方向に向かっている」と述べ、厳しい状況が緩和されつつあることを示唆した。
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