また品田氏は「当社の競争優位の源泉は技術力だが、現状では自前の技術で、全方位的な開発を行っている状況だ。だが、技術の世界は各領域の複雑化と領域間の融合が進んでいる。当社としても外部企業の技術をグローバルかつ積極的に取り入れていくことが大切だと考えている」と説明し、こうした社外との技術連携を中期的に達成するために「くらしファンド」の創設も計画しているという。
また商品/サービスを通じた顧客関係性の構築も意識し、「(商品/サービスの)未来の定番づくり」「顧客との関係づくり」「世界観づくり」を三位一体で進め、パナソニックブランドの価値最大化を進めるとした。
オペレーショナルエクセレンスの追求については、各事業会社の壁を乗り越えた競争力強化に取り組むとしている。現在、半導体をはじめとするさまざまな部材不足が問題化しており、パナソニックでも解決に向けた現場努力を続けている。しかし「各事業会社の既存のやり方に固執してしまい、サプライチェーンの全体最適化を妨げる要因になっている」(品田氏)という課題もあるという。このため、中国部材の域外展開や調達DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、トップダウンで「聖域のない改革」(品田氏)を実行することで、今後3年間で1000億円程度のサプライチェーンコスト削減を目指す。
この対策の一環として、サプライチェーンマネジメント(SCM)領域を主な対象にIT投資強化を進める方針だ。この他に、社内業務の見える化や、顧客接点の創出促進などを目的としたIT投資も進めるとして、投資額は向こう5年間で従来比4〜5倍規模となる見込み。
成長事業への経営資源の集中については、「新・パナソニックのナンバー1、2となるような、1000億円規模の事業を育てていく」(品田氏)とした。従来のパナソニックの体制では大きなビジネスに成長し得る「事業のタネ」があっても十分な投資を回せないという問題があったとして、中長期的な視点で事業を育てる体制へと移行する計画だ。なお、「1000億円」はあくまで想定値であり、投資領域についても現時点では検討中とする。
また、報道陣からは新・パナソニックが東京に拠点を構える理由について質問が出た。品田氏は「B2Bという視点で見た時に、当社のビジネスパートナー、顧客の多くが東京に集中している。現在、当社の経営幹部も多く東京に来ているが、外部との接触による新たな知見の獲得などを体験し、それを大阪や草津などの拠点にフィードバックできればと考えている」と語った。
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