連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第7回は、前回の続きとして、断面図を描く上での注意事項を紹介するとともに、寸法(サイズ)記入の方法を詳しく取り上げる。
これまで、3D CADを使用して2D図面を作製していくために必要な知識として、三面図から始まり、補助投影図、断面図と図形の描き方について解説してきました。今回は、前回の続きとして、断面図を描く上での注意事項を説明するとともに、寸法(サイズ)の記入について取り上げます。これにより、2D図面は図形だけでなく、大きさの定義を持つことができます。
前回説明した通り、断面図の定義については、「JIS B 0001:2019」に記述があります。その中から、断面図を描く際の注意事項について解説します。
断面の切り口には、等間隔かつ平行な細い斜線を描きます。この線のことを「ハッチング(hatching)」といいます。ハッチングについて、「JIS B 001:2019」には次のような記述があります。
(※JIS B 0001:2019 機械製図より抜粋/編集)
図1では、断面図の規定として、断面の向こう側に見える外形線を実線として描き、隠れ線は描いていません。ハッチングの線は45度の平行な細い斜線で描いています。
筆者が普段使用している「SOLIDWORKS」では、図2に示したドキュメントプロパティでハッチングの設定が可能です。また、ここにはANSI(アメリカ規格協会)やISO(国際標準化機構)で規定されている多くのハッチングパターンが登録されています。
断面図として表す際、
などは、切断すると理解しにくくなってしまいます。「JIS B001:2019」を確認してみましょう。
10.2 断面図(※JIS B 0001:2019 機械製図より抜粋/編集)
10.2.1 一般事項
一般事項は、次による。
比較のために、3D CADによる断面図(図4)を作製しましたが、視認性に関してはこちらの方が優れているといえるでしょう。ただ、前回も解説しましたが、3D CAD/2D CADの連携では、その機能がJISに適合していないこともありますので注意が必要です。重要なのは「一義性のある図面」「分かりやすい図面」であることなので、これを前提にうまく運用する必要があります。
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