連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第6回では、断面図を使用した図形の表し方を詳しく取り上げる。
前回は、傾斜部のように、第三角法の面だけでは形状やサイズなどを正しく表すことのできないものを「補助投影図」により表現する方法を解説しました。
では、目に見えない内部などは、どのように表せるでしょうか?
方法として「隠れ線(破線)」で表すこともできますが、それが必ずしも「分かりやすい図面」であるとは限りません。このような場合には「断面図」を使用します。今回は、この断面図による図形の表し方について解説していきます。
断面図については「JIS B 0001:2019 機械製図 Technical drawings for mechanical engineering」で、以下のように規定されています。
10.2 断面図(※JIS B0001:2019より抜粋/編集)
10.2.1 一般事項
一般事項は、次による。
それでは図1を題材に三面図と断面図を作成し、どちらが内部形状を示すのに「分かりやすい図面」であるかを比べてみましょう。
まずは、図1に示した部品の内部形状を、第三角法による面(三面図)によって示してみます(図2)。
ご覧のように「外形線」と「隠れ線」で表すことができますが、内部空間の状態が分かりにくいかと思います。
次に断面図です。3D CADによって断面図を作成する方法はいくつかあると思いますが、図3のように任意の面で部品形状をカットして断面が見えるようにします。ここでは、中心軸を通る正面の平面によって実形(部品形状)を切断するイメージで、断面図を作成しています(図4)。
図4のような表現のことを断面図といいます。隠れ線では不明瞭だった内部空間が外形線だけで表され、誰が見てもその状態をよく理解できると思います。
実は「断面図」と一言でいってもさまざまな使い方があります。筆者の解釈で整理した限りでもこれだけの種類があります(図5)。
断面図の種類については「JIS Z8114-1999 製図−製図用語」にも記載されていますが、図5はそれを参考に体系化したものになります。筆者自身、これら全てを使用したことはありませんが、断面図は製図の世界で非常に重要な図形の表し方の1つですので、ぜひポイントだけでも押さえておいてください。
それでは、以降で主な断面図について簡単に見ていきましょう。
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