また、大きなプロジェクトであればあるほど、5年、10年、20年といった時間軸の中で変化を遂げていく。そうした状況の中、企業はシステムを更新し続け、同時に既存の共通言語に内在する情報を維持し続けなければならない。「これこそ、現在多くの企業が直面している大きな課題だ」とゴドブ氏は指摘する。
こうした状況を打破する存在が、プラットフォームである。ゴドブ氏は「クラウドソリューションが進化を遂げる中、プラットフォームというアプローチは、システムの更新と製品設計の継続、品質向上といった企業が抱える課題の解決を可能にするものだ」と述べる。実際、前述した大型航空機開発プロジェクトでは、世界140以上の拠点をプラットフォームにつなげ、システムを更新し、必要な設計ツールの継続的な利用を可能にするための技術を開発。これにより、クラウドプラットフォーム上で関係者全員による共同作業を実現し、CADやPLMといった共通言語に内在する情報を維持し続けることを可能にしたという。
「現在、エンジニアはたくさんの異なるシステムを使って仕事をしている。こうしたエンジニアたちが着実に成果を生み出すためには、プラットフォームを主要システムとして据えるべきだ。さらに、プラットフォームから経営判断に必要な情報を引き出して活用することもできる。経営者は、製造現場で今何が起きているのかを理解し、より的確な意思決定につなげられる。これがプラットフォームの価値だ。3DEXPERIENCEプラットフォームは、製品開発のためのプラットフォームであると同時に、ビジネスプラットフォームでもある」(ゴドブ氏)
以上のように、3DEXPERIENCEプラットフォームは、製品設計からシミュレーション、製造、マーケティング、サポートに至るまでをカバーする製品開発のためのプラットフォームでありながら、企業のコラボレーションを促進するために必要なさまざまなロール(役割ごとに適した機能群)を提供するとともに、経営判断にも活用できるビジネスプラットフォームとしての側面も備える。
あらゆる領域の専門家が複数人で共同作業することが当たり前の時代において、領域ごとに縦割りで分断されているような環境では思い通りの成果は得られない。そうした中、さまざまな領域をつなげ、情報をシームレスに連携して活用できる3DEXPERIENCEプラットフォームの存在は、「SOLIDWORKSの価値と他の領域をつなげるものであり、それこそが3DEXPERIENCEプラットフォームの真価だ」(ゴドブ氏)。
また、日本の産業界においても、同様に3DEXPERIENCEプラットフォームの価値は存分に発揮されるとする。特に、長年培われてきた洗練されたプロセスの下でモノづくりに取り組み、「自社のシステムや技術をどのタイミングで更新すべきか?」と悩んでいる日本企業に対して、プロセスを段階的かつ継続的に改善へと導くことができるという。
「日本企業の場合、他の国で見られるような一気に全てを大きく変えてしまうビッグバン的なアプローチは適さない。3DEXPERIENCEプラットフォームであれば、SOLIDWORKSユーザーが多くいる日本の顧客企業の段階的な進化と新たな統合プロセスへの移行を支援できる。大企業だけでなく、SMB(中堅中小企業)市場にも対応したプラットフォームであり、中小規模の企業がグローバル展開するための包括的なアプローチの実現を支援する」(ゴドブ氏)
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