SOLIDWORKSの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2021」がオンラインで開催された。初日のゼネラルセッションでは「From Products to Platform」と題し、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏が登壇。その戦略と方向性について語った。
3D設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2021」(会期:2021年2月8日〜11日[米国時間])がオンラインで開催された。
SOLIDWORKSユーザーにとっては、長年親しまれてきた「SOLIDWORKS WORLD」という名称の方がなじみ深いかもしれないが、前回、米国テネシー州ナッシュビルで行われたイベントから「3DEXPERIENCE WORLD」に変更されている。
ちなみに、前回の「3DEXPERIENCE WORLD 2020」(会期:2020年2月9〜12日[米国時間])は、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを宣言する以前に開催されたこともあり、通常通り、会場には世界中から多くの来場者が詰め掛けていた(MONOist編集部も現地取材を実施した)。あれから約1年が経過し、今回の3DEXPERIENCE WORLD 2021は、ワールドワイドのユーザーイベントとして初のオンライン開催となった。
本稿では、「From Products to Platform」と題して、初日のゼネラルセッションに登壇したSOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏の講演内容をダイジェストでお届けする。
冒頭、バッシ氏は「前回のイベントが終了したわずか数週間後、私たちはどこからでも仕事ができること、情報が1つの場所に集約されていることの重要性を学んだ。そして、どのような状況でもビジネスを継続していくためには、従業員や顧客とつながることが必要であり、全てのプロセスをデジタル化して、それらを視覚化できるクラウドプラットフォームがその重要な役割を果たす」と語り、“製品思考からプラットフォーム思考へ”の変革の必要性を引き続き訴える。
そして、プラットフォーム思考への変革をSOLIDWORKSユーザーにもたらすものとして、2020年にローンチしたのが新ポートフォリオ「3DEXPERIENCE WORKS」である。
3DEXPERIENCE WORKSは、クラウド上で展開されるダッソー・システムズの「3DEXPERIENCEプラットフォーム」との連携を前提とし、SOLIDWORKSにさらなる拡張性をもたらすもので、“ダッソーブランド”の高度なアプリケーションや機能などを、業務やタスクに応じた「ロール」という単位で利用することが可能だ。
このポートフォリオのうち、設計領域の根幹を担うのが「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」である。通常のSOLIDWORKSとの違いは、クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームとの接続を前提としている点で、機能的には“デスクトップ版SOLIDWORKS”とほぼ同等だ。そういう意味で、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSは“コネクテッド版SOLIDWORKS”と呼ぶことができる。最大の特長は、クラウド上にある3DEXPERIENCEプラットフォームとの接続により、データだけでなく、ツール間の連携を可能とし、その他の3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオに含まれるアプリケーション/機能群をシームレスに活用できる点だ。
バッシ氏は、過去類を見ないほどの健康被害、経済危機に直面するコロナ禍において、デジタル技術を活用した変革、すなわちデジタルトランスフォーメーション(DX)のさらなる推進が重要だとする。そして、企業が取り組むべき戦略上の最優先事項として、「俊敏性」と「柔軟性」の実現を掲げるとともに、「クラウドベースのコラボレーション環境の構築」「エンドツーエンドの接続」を挙げた。
ここでバッシ氏は、クラウドベースのコラボレーションの実現を支援するWebブラウザベースの設計ツールである、パラメトリックモデラー「3D Creator」とサーフェスモデラー「3D Sculptor」に続く、新たなラインアップを紹介。「過去数カ月間で、われわれは全ての設計開発領域に対して、新しいアプリケーションを継続的に提供してきた」(バッシ氏)とし、
などの存在を明らかにした。
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