3次元設計ソリューション「SOLIDWORKS」の可能性の扉を広げる「3DEXPERIENCE WORKS」。その根幹を支える3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす価値とは何か。年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2020」の2日目に行われたゼネラルセッションの内容を基に、ストーリ仕立てでその効果や活用メリットについて掘り下げていく。
米国テネシー州ナッシュビルで、3次元設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2020」(現地時間:2020年2月9〜12日、会場:Music City Center)が開催された。
今回、SOLIDWORKSの可能性を拡張するプラットフォーム戦略に基づく、「3DEXPERIENCE WORKS」というポートフォリオが発表され、特定の業務/タスクに応じた「ロール」と呼ばれる単位で、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で動作する機能(「ENOVIA」「SIMULIA」「DELMIA」「CATIA」などから派生したアプリケーション)を柔軟に導入できるようになることが示された。このあたりの詳細については、初日のゼネラルセッションのレポートをご覧いただきたい(関連記事:SOLIDWORKSユーザーが求める機能を1口サイズで提供する「3DEXPERIENCE WORKS」)。
コンセプトデザインから設計、シミュレーション、製造、サービス、マネジメントに至るまでの業務プロセスが、クラウド上にある3DEXPERIENCEプラットフォームでつながることで、統合管理された環境の下、リソースを最適に投入できるようになり、イノベーティブなモノづくりが可能になるという。
「3DEXPERIENCEプラットフォームによるイノベーション」をテーマに、2020年2月11日(現地時間)に行われた2日目のゼネラルセッションでは、モノづくりとビジネスの視点で3DEXPERIENCEプラットフォームがもたらす価値について説明があった。本稿では、ゼネラルセッションの内容を基に、製品開発の領域において3DEXPERIENCE WORKSが具体的にどのように機能するのか、芝刈り機の設計、開発、製造を手掛ける架空の企業をモデルに、プラットフォーム(3DEXPERIENCEプラットフォーム)を活用したモノづくりの姿を紹介する。
このストーリーは、インダストリアルデザイナーの女性が、芝刈り機で悪戦苦闘しながら庭の手入れをする人たちのフラストレーションに気づくことから始まる。会社から帰宅した彼女は、家のソファでくつろいでいたところ、ロボット掃除機が黙々と床掃除している様子を見て、新しい芝刈り機のアイデアを思い付く。折しも会社からは顧客に選ばれるような、革新的な全く新しい芝刈り機のアイデアが強く求められていた。
早速、手にしたスマートフォンで、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で動作するソーシャルエンタープライズプラットフォーム「3DSwym」にアクセスし、アイデアを投稿。ここでは、3DEXPERIENCE WORKSのロールのうち、プロジェクト管理に関する「Collaborative Business Innovator」とデータ共有やコミュニケーションに関する「Collaborative Designer」という2つのロールが役立つという。
すると、その投稿を見た別の社員たちが、彼女の投稿からさらに着想を広げて、さまざまなアイデアを書き込んでいく。関係者を集めて会議室にこもって行われる企画会議とは異なり、3DSwym上ではオープンな形で議論が進んでいく。すると、その様子を見ていた上層部の人間(経営陣)が新しい芝刈り機のコンセプトに共感し、CEOにそれを後押ししてプロジェクトとして承認。従来であれば企画書を作り、プレゼンテーションをしてプロジェクトとして経営層の承認を得る必要があるが、3DSwym上で既にビジュアル化された状態で議論が進んでおり、そうした承認プロセスを経ることなく、スピーディーにプロジェクト化されることになった。
新しい芝刈り機のプロジェクトメンバーは、アイデアの発起人であるインダストリアルデザイナー、メカニカルデザイナー、ストラクチャルエンジニア、モールドデザイナー、マニュファクチャリングエンジニア、マーケティング担当、そして、プロジェクトマネジャーで構成される。
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