ダッソー・システムズは、国内のエグゼクティブ層向けオンラインイベント「3DEXPERIENCE EXECUTIVE FORUM JAPAN 2020」を開催。同イベントの中で、Dassault Systemes 取締役会 副会長 兼 CEOのベルナール・シャーレス氏は、「From Thing to Life −人間中心の世界、いま私たちは何を選ぶか。」をテーマに、来るべき新しい世界、新しい社会に向けて同社が目指すビジョンや方向性について語った。
ダッソー・システムズは2020年10月21日、国内のエグゼクティブ層向けオンラインイベント「3DEXPERIENCE EXECUTIVE FORUM JAPAN 2020」を開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的パンデミックに代表されるように、不透明さが増すビジネス環境において、企業は何を優先に、何を指針としてビジネスを再定義すべきか――。多数用意された講演で、そのヒントが示された。
Dassault Systemes 取締役会 副会長 兼 最高経営責任者(CEO)のベルナール・シャーレス氏は、「From Thing to Life −人間中心の世界、いま私たちは何を選ぶか。」をテーマに、来るべき新しい世界、新しい社会に向けて同社が目指すビジョンや方向性について語った。
冒頭、シャーレス氏は「今、われわれはCOVID-19という世界的な危機から多くのことを学んでいる。危機の中にあってもイノベーションを追求し、経営の在り方を再考しようと力を尽くし、共に協力して前に進んでいる」と述べる。
そうした中、今注目すべきこととして、シャーレス氏は「バーチャル」の力を挙げる。「バーチャルの世界は、現実世界をさらに広げ、高めていくものだ。イノベーションやコラボレーションを可能にし、物事の新たな気付きや発見につなげることができる」(シャーレス氏)という。
そして、こうした“新たな世界”を手にするためには、過去を理解し、未来に進むための“コンパス(羅針盤)”が必要になるとし、シャーレス氏は「それを実現する唯一無二のソリューションが、われわれの『3DEXPERIENCEプラットフォーム』だ」と強調する。
ダッソー・システムズが掲げる「3DEXPERIENCE」の根幹には、“サスティナブル(持続可能)な世界を築く”という信念がある。そのために必要なことは、アイデアと人々をつなぎ新たな可能性の扉を開くことだとし、その一例として、3DEXPERIENCEプラットフォームを活用したCOVID-19対策に関するコラボレーション事例を紹介した。
シャーレス氏によると、COVID-19の流行が始まって数週間のうちに、国や地域、業種・業界を横断したさまざまなオープンイノベーションの取り組みが進んだという。3DEXPERIENCEプラットフォームを活用することで、世界中に広がる多くのアイデアを基に、不足する医療機器/パーツの製造や物流支援などを行った他、大規模シミュレーションによって空気の流れを解析し、院内感染リスクの低減に貢献したり、高度な3Dモデリング機能を活用して短期間のうちに病院を建設したりなど、「クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームを活用することで、さまざまな貢献を成し遂げることができた」(シャーレス氏)。
この事例は、人々が力を合わせて新たな方法や解決策を考え出し、課題を解消したり、生活を改善したりできるソリューションを作り出せることを証明するもので、その基盤となるクラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームがなければ実現できなかったといえる。
また、サスティナビリティ(持続可能性)への取り組みに大きな影響を与えるものが、プロダクトエコノミー(製品経済)からエクスペリエンスエコノミー(経験経済)への移行により、人々の価値の中心が「所有」から「エクスペリエンス(体験・経験)」へと変わることだという。
「今後、モノからコトへのシフトが急速に進む中、消費者やユーザーはエクスペリエンスだけを求めるようになる。その一方で、企業は自社の製品やサービスのライフサイクル全体を通じて、全ての責任を持ち続けなければならない。これはつまり、サスティナブルであることを前提としたイノベーションが必要であることにほかならない」とシャーレス氏は述べる。
こうした時代や環境、価値の変化に併せて、ダッソー・システムズも長年投資を続け、製造業を中心に、3Dを軸とした「バーチャルツイン」による革新の道を示してきたが、近年ではモノから人体までを視覚化するテクノロジーに数十億ユーロもの投資を行ったという。そこには「人体のバーチャルツイン」を実現して、医療や生命科学の発展に貢献したいという目的だけではなく、同社が掲げるサスティナブルな世界の実現に欠かせない要素の1つであるライフサイエンス領域のさらなる強化という狙いがある。
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