海外企業は「ファンづくり」意識が高いか、DX調査レポート公開製造マネジメントニュース

IDC Japanは2021年11月2日、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する国内外の比較調査結果を発表した。調査からは、国内企業と比較すると海外企業はDXを既に実装している段階にあり、社内抵抗や予算などで困難に直面していることが推測される。

» 2021年11月08日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 IDC Japanは2021年11月2日、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する国内外企業の比較調査結果を発表した。調査からは、国内企業と比べて海外企業はDXを既に実装している段階にあり、その中で社内抵抗や予算などで困難に直面していることも推測された。

海外企業は「ファンづくりに関する指標」に関心

 今回の調査ではDXを実践している国内、海外企業のマネジャーや経営者を対象に、DXの戦略や戦術、予算、KPI(重要業績評価指標)、課題、組織/文化、IT基盤などをアンケート形式での質問を行った。

 DXの進捗を測るための指標となり得るものを尋ねたところ、国内企業に対して海外企業の方が回答率の高い項目が幾つかあった。具体的には、売り上げや利益、効率性、投資対効果など「標準的な指標(17.0ポイント差)」や、「カスタマーアドボカシー(13.0ポイント差)」「従業員のアドボカシー(13.3ポイント差)」に関する質問である。

 IDC Japanは「標準的な指標」に対する海外企業の回答率の高さは、「海外企業はDXを実装し、ビジネス的効果を計測する段階に進んでいることを表す」と分析している。また、「カスタマーアドボカシー」と「従業員のアドボカシー」への回答率の高さは、DXの影響を社内と社外の両面から計測しようとする態度の表れだとする。特に従業員からの支持や、その支持が顧客からの支持や売り上げにどのように影響しているかを考えており、「『ファンづくりに関する指標』に対して高い関心を持っている」(IDC Japan)と推察できるという。

 DX推進上の課題に関する質問では、「必要なテクノロジーを持った人材の不足」が、国内企業に対して海外企業の回答率が19.3ポイント上回っていた。この他、「実施のための予算が不足(11.6ポイント差)」「変革に対する社内の抵抗(6.0ポイント差)」においては海外企業が国内企業を上回った。

 一方で「推進するリーダーシップの不足」については、海外企業に対して国内企業の回答率が17.2ポイント高かった。

 このことからIDC Japanは、「海外企業はリーダーシップの下にDXを実装している段階にあり、社内組織からの変革に対する抵抗や変革を実現するための予算不足に取り組んでいる状況だと推察される。これらはDXの実装段階で直面する課題と考えられ、国内企業もこれから直面することになるだろう」と指摘している。

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