JEITAは2021年1月12日、日米企業を対象としたDX調査レポートを発表した。日本企業は社内の業務プロセス改善を、米国企業は新規事業創出などを目的としたDXを目指している傾向が見られるなど、日米間でDXの取り組み方に相違がある。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2021年1月12日、日米企業を対象としたDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する調査レポートを発表した。日本企業は社内の業務プロセス改善を、米国企業は新規事業創出などを目的としたDXを目指しているなど、日米間でDXの取り組み方にいくつもの違いが見られた。
調査は2020年8〜9月の期間で、従業員数が300人以上の民間企業を対象に実施した。日本企業は334社と米国の300社がアンケートに回答し、この他、個別ヒアリングを実施した日米3社の回答を併せて集計した。回答者は情報システム部門以外のマネジャー層と経営幹部に限定した。
企業内でのIT予算の増減見通しを尋ねた項目では、日米両国ともに「増える傾向にある」と回答した企業が多数派で予算は拡大傾向にある様子が伺える。ただし細かく見ると、「増える傾向にある」という回答の比率は、日本企業が58.1%であるのに対して米国企業は71.0%となっており、差が生じている。
IT予算の用途については回答傾向に日米間で違いが見られた。日本企業では「『働き方改革』の実践のため」「業務効率化/コスト削減」「業務プロセスのIT化」と回答した企業が多かったが、米国では「ITによる顧客や市場の分析強化」「市場や顧客の変化に対する迅速な対応」「ITを活用したビジネスモデル変革」などが回答の上位に挙がった。JEITA ソリューションサービス事業委員会 委員長の馬場俊介氏は「日本企業は企業内部の業務改善や効率化での投資を行う傾向にある一方で、米国企業は外部環境やビジネスにまなざしを向けた投資が多いようだ」と指摘した。
DXの実施状況について尋ねたところ、全社あるいは部門レベルで既にDXを実践している企業は、日本では20.3%で、米国では27.6%となった。また、日本企業では「情報収集中」「実施していない」といった回答が32.3%だったが、米国ではそうした回答は5%未満にとどまった。
JEITA 日米DX投資調査タスクフォース 主査 兼 ソリューションサービス事業委員会副委員長の小堀賢司氏は「2017年の調査と比較すると、DXを実践していると回答した日本企業の割合は約3倍にまで上昇した。また、DXを実践している企業の割合は、日米間で数値的にはそれほど大きな差が開いていない。ただ、米国企業の26.0%は実証実験に取り組んでいると回答しており、DXを社内で本格的に実践しようとする“予備軍”の層が厚い。一方で、日本企業で実証実験に取り組んでいると回答したのは7.8%にとどまり、違いが見られる」と指摘した。
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