DXの実施目的については、日本企業が「業務オペレーションの改善や変革」、米国企業では「新規事業/自社の取り組みの外販化」という回答がそれぞれ最多となった。日本企業の回答結果について、小堀氏は「IT投資の延長でDXを捉えている企業が多いのではないか」と指摘する。
DX推進上の課題について、日本企業では技術スキルを備えた人材や、ビジネス変革を主導する人材の不足を挙げる回答が多かった。一方で、米国企業においても人材不足を課題とする声は一定数あったが、「変革に対する社内の抵抗」や「組織間の連携の進まなさ」といった組織内の課題を挙げる回答の方が多かった。
こうした回答傾向について小堀氏は「米国企業ではDXに対する経営層の関与度が日本企業よりも大きく、また、企業全体で展開する試みが活発なことから、組織内の課題を取り上げる割合が高かったのではないか」と指摘する。実際に、DXにおける経営層の関与度については、経営層が「DXの戦略策定や実行に自ら関わっている」とした回答が日本企業は35.8%だったのに対して、米国企業では54.3%となっている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるDXへの影響については、日本企業は「DXとして取り組む領域が増えた」との回答が24.0%で、「コロナ前と大きく変わらない」の23.6%とほぼ拮抗する結果となった。一方で米国企業では、「DXとして取り組む領域が増えた」という回答が30.4%で、「コロナ前と大きく変わらない」の11.4%を大きく引き離している。
今回の調査を受けて馬場氏は、「日本企業はDXを単なるデジタル化の手段としてではなく、戦略的なものと捉えて実行していく必要がある。加えて、どのようにあるべきかという『to be』の世界を思い描き、働き方の変化など、COVID-19以降のニューノーマルの社会を想像した上で変革に取り組まなければならない。また、DXを実践するには全社的な取り組みが必要だ。組織文化の変革や、データ活用の意識付けが求められる」と指摘した。
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