Part2では、製造業、建築/建設業、メディア&エンターテインメントなど、より業界に特化した形でのForgeプラットフォームの提供価値について説明があった。ここでは製造業にフォーカスした「Design&Manufacturing」の話題を中心にお届けする。
オートデスク製品の中で、特にForgeプラットフォームとの統合が進んでいるのが、クラウドベースの統合設計開発環境「Fusion 360」だ。Forgeプラットフォームとの統合により、Fusion 360が有する設計/製造機能は、クラウド上のオープンで拡張可能なデータモデルの一部として提供され、他の製品やパートナーとの連携に役立てられている。
例えば、2021年6月に買収したUpchainのクラウドPLMは、既にFusion 360との統合が進められており、Fusion 360だけでなく、「Inventor」「AutoCAD」、さらには「SOLIDWORKS」などのデータも、UpchainのPLM上でネイティブに機能するとしている。また、Upchainではこれらデータの他、コストやサプライヤーに関するデータなどを独自ファイル形式に閉じ込めることなく利用可能とし、全ての関係者のコラボレーションの実現を支えているという。
また、プロジェクトデータがクラウドに保存されるようになったことを受け、Forgeプラットフォームとの統合が進むFusion 360では、設計と製造において、チームの効率や生産性を低下させている多くのプロセスの自動化を進めている。その1つが、メッシュデータを編集可能なCADジオメトリに変換するというプロセスの自動化だ。設計者やエンジニアは3Dスキャンしたデータを、すぐに編集可能なCADジオメトリとして利用できるため、作業時間の短縮や大幅な効率化に役立てられる。
さらに、ジェネレーティブフィーチャを使用したパラメトリックモデリング機能「ジェネレーティブモデリング」では、設計者に対してジェネレーティブデザインを活用した全く新しい設計アプローチを提供すると同時に、設計のコンセプトから製造まで、全てを素早く反復して作業できる環境を提供する。また、設計に関するフィードバックは、全てFusion 360から直接リアルタイムに取得でき、設計の初期段階から製造性とコストを加味した実現性の高いモノづくりが可能になるという。
Forgeプラットフォームとの統合によって、Fusion 360の設計/製造機能は、拡張可能なフレームワークとして機能し、プロセスの自動化やワークフローの効率化を実現するが、他の製品やパートナーとの連携でもこの仕組が役立てられている。その一例となるのが、Ansysとの取り組みだ。同社は、Fusion 360のPCB(プリント基板)機能の拡張に向けてAnsysと協業し、Ansysの電磁界解析機能をFusion 360のワークフロー内に組み込み、PCB設計の検証とイテレーションの迅速化を可能にしている。
さらに、Forgeプラットフォームによって、プロジェクトデータがクラウドに保存されることで、AI(人工知能)活用による下流工程に向けたプロセスの自動化やワークフローの効率化も実現する。例えば、Fusion 360上での設計が完了し、製造に必要な図面を出力する際、AIを活用して寸法がフルに記入された図面を自動生成するというものだ。また、機械加工を行う際、CNC工作機に渡すGコードの自動生成にも取り組む。同社が買収したCAMpleteによるGコードのポストプロセス/シミュレーションができるソフトウェアと、NCシミュレーションソフトウェア「CIMCO」を組み合わせ、最適なツールパスを自動的にシミュレーションし、ジョブをCNC工作機のコントローラーに直接送信できるというものだ。同社は、設計/製造におけるこうした日常的な作業を自動化する取り組みも積極的に推進していく。
最後に、これまでForgeプラットフォームのさらなる進化の方向性とその価値について紹介してきたアナグノスト氏は、「withコロナにおける働き方において、作業する場所が、スタジオでも、建設現場でも、工場でも、キッチンのテーブルでも、閉鎖的な独自仕様のソリューションを使っていては、分散しているチームの問題や断片化している業界の大きな問題は解決できない。今、明確性と確実性がこれまで以上に求められており、それはオープンなソリューション、オープンスタンダードによってもたらされる。だからこそ、Forgeプラットフォームが実現する流動的なワークフローによって、使用するソフトウェアに関係なく、必要なプロジェクトデータを全ての関係者が利用できるようになることが重要だ。Forgeプラットフォームを活用したこうした機能の開発は既に進んでおり、絶えず改善し続けている」と述べ、講演を締めくくった。
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