大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズは2021年8月20日、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL新富士II」において、熱中症やインフルエンザの発生リスクを見える化し、これらを予防する「倉庫環境監視IoTソリューション」の運用を同年8月23日から開始すると発表した。
大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズは2021年8月20日、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL新富士II」において、熱中症やインフルエンザの発生リスクを見える化し、これらを予防する「倉庫環境監視IoTソリューション」の運用を同年8月23日から開始すると発表した。
大和ハウス工業では、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を加速するために、2021年7月に同社建築事業本部内に「物流DX推進グループ」を新設し、デジタル技術の活用による物流ソリューションの提案を推進している。物流DX推進グループでは「映像技術やAI(人工知能)技術を用いて物流施設における効率化と省人化を進める。既にさまざまなプロジェクトを立ち上げている。安心安全で効率的な倉庫の姿を模索する」(大和ハウス工業 建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室 室長の井上一樹氏)。
一方で、NTTコミュニケーションズは、事業ビジョン「Re-connect X」を掲げ、顧客のDX支援を推進することで持続可能な未来の実現に取り組んでいる。「こうした取り組みは1社では難しく共創が重要になる」とNTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 西日本営業本部 第二営業部門 部門長の脇野直樹氏は語る。
これらを背景に両者では連携を推進。既に2020年12月には、物流施設におけるテナント企業が安全・安心に利用できる環境実現を目指し、AIによるマスク着用および混雑度判定を行う実証実験を共同で実施している。今回の「倉庫環境監視IoTソリューション」はこれらの取り組みの第2弾となるものだ。
「倉庫環境監視IoTソリューション」は、施設内の温度や湿度など環境データを測定するセンサーと、NTTコミュニケーションズのIoTプラットフォーム「Things Cloud」を活用し、熱中症やインフルエンザの発生リスクをリアルタイムに見える化するものだ。リスクの段階に応じて、テナント企業や管理者が施設内の温度コントロールや換気を行うことで、熱中症やインフルエンザの発生リスクを低減できる。
「DPL新富士II」ではこの仕組みを活用し「熱中症の発生リスク見える化」と「インフルエンザの流行リスク見える化」という2つのアプリケーションを運用する。
「熱中症の発生リスク見える化」は施設内に設置されたWBGT(暑さ指数)センサーにより、環境データを測定するとともに熱中症発生リスクを示す暑さ指数を算出する。この暑さ指数を「Things Cloud」で収集・蓄積し、「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の5段階でモニターに表示する。リスクの段階に応じてテナント企業や管理者に対しアラートメールを送付し、対策を取れるようにする。
「インフルエンザの流行リスク見える化」については、施設内に設置された温湿度センサーで環境データを測定し、データを「Things Cloud」で収集・蓄積する。このデータを分析しインフルエンザ流行リスク指数を算出し、「ほぼ安全」「注意」「警戒」の3段階で見える化をする。「熱中症の発生リスク見える化」と同様、管理者へのメールでのアラートなども行う。
今回のソリューションで使用するセンサーは、一定照度以上であれば光を動力に駆動するものを使用しており、電池交換を不要としている。また、無線通信機能を備えており、施設内のレイアウトを変更することなく導入可能としている。通信機能は具体的には920MHz帯マルチホップ無線技術「SmartHop」を活用している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延(まんえん)する中で、対策として「倉庫環境監視IoTソリューション」を活用することにも期待が高まるが「CO2濃度が高まれば人が多くなったと判断して換気量を増やすなど、条件とセンサーの関係性が解明され、モデルが構築できるのであれば活用することは可能だ」とNTTコミュニケーションズ 5G・IoTタスクフォース 担当部長の飯田博之氏は考えを述べている。
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