軸受荷重を直接測定する、鉄鋼圧延設備向け軸受荷重センシング技術を開発:FAニュース
ジェイテクトは、鉄鋼圧延設備向けの軸受荷重センシング技術を開発した。センシング軸受を組み込んだロールを鉄鋼圧延設備に取り付け、軸受荷重を直接測定することで、設備の状態を迅速かつ正確に把握する。
ジェイテクトは2021年6月29日、鉄鋼圧延設備向けの軸受荷重センシング技術を開発したと発表した。同技術を用いることで、設備状態の見える化や壊れない軸受を提案し、設備の健全化と生産性向上を支援する。
鉄鋼圧延設備の管理は、温度や振動変化の傾向を一定期間管理し、過去の経験に基づいて健全化を図る対応が主流だ。
同社は、鉄鋼圧延設備の軸受荷重を直接測定することで、設備の状態を迅速かつ正確に把握する荷重センシング技術を開発。センシング軸受を組み込んだロールを鉄鋼圧延設備に取り付け、オンラインで2〜3時間ほど軸受荷重を測定する。ロール交換やオフライン後に測定データを回収し、データを分析する。
荷重測定方法の概略(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト
測定データから、仕様に対する荷重の妥当性や不具合、メンテナンス状態などを検証することで、設備の健全性を見える化する。また、高速化や高張力鋼といった難圧延材への対応など、厳しい負荷条件でも信頼性の高い設備改修が可能になる。軸受の破損原因の推定や最適設計による壊れない軸受の提案もできるため、設備の安定稼働と生産性向上につながるという。
軸受の円周方向回転動体荷重分布(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト
既に実際の生産現場で、同技術を用いた設備健全化の提案を開始している。今後は、ワイヤレス化によるセンシング軸受の組み付けの簡易化、自己発電などを利用した長時間測定に取り組んでいく。
- オープンIoT基盤でジェイテクトのつながる事業を支援
シーメンスは、ジェイテクトと製造業のデジタル化領域で協業すると発表した。シーメンスのオープンIoTオペレーションシステム「MindSphere」を手始めとして、ジェイテクトの「つながる事業」を支援する。
- 「モノ」ではなく「コト」で表現、ジェイテクトがMRで訴えた「IoE」の真価
ジェイテクトは、ハノーバーメッセ2018において、同社が推進するスマートファクトリーコンセプト「IoE」を提案。あえて製品をおかず、同コンセプトをMRを通じて「コト」訴求し、来場者の関心を集めた。
- 設計と生産の一体化で宇都宮地区を針状ころ軸受の戦略地域へ、ジェイテクト新工場
ジェイテクトの完全子会社でベアリング製造を担う宇都宮機器は2018年8月21日、新たにニードルローラーベアリング(針状ころ軸受、以下NRB)の新工場「清原工場」を設立し開所式を開催した。
- 製造業のデジタル変革は第2幕へ、「モノ+サービス」ビジネスをどう始動させるか
製造業のデジタル変革への動きは2018年も大きく進展した。しかし、それらは主に工場領域での動きが中心だった。ただ、工場だけで考えていては、デジタル化の価値は限定的なものにとどまる。2019年は製造業のデジタルサービス展開がいよいよ本格化する。
- 製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない
製造業が生産する製品を販売するのでなく、サービスとして提供する――。そんな新たなビジネスモデルが注目を集めている。サービタイゼーション(Servitization、サービス化)と呼ばれるこの動きが広がる中、製造業は本当にサービス業に近くなっていくのか。インタビューを通じて“製造業のサービス化”の利点や問題点を洗い出す。本稿では、サービタイゼーションを研究するペンシルバニア大学 教授モリス・コーヘン氏のインタビューをお伝えする。
- 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.