オムロンは2021年7月1日、太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナーや電源設備、EV急速充電器、ロボットコントロール機器などのエネルギーロスを抑える高容量リレー「G9KA」を同日発売したと発表した。
オムロンは2021年7月1日、太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナーや電源設備、EV(電気自動車)急速充電器、ロボットコントロール機器などのエネルギーロスを抑える高容量リレー「G9KA」を同日発売したと発表した。新製品は200A(アンペア)という高容量領域で0.2mΩ(ミリオーム)という超低接触抵抗を実現し、リレーの発熱を抑制する。
太陽光など再生可能エネルギーによる発電設備では、発電時に機器の発熱によるエネルギーロスが発生することに加え、設備や機器の高容量化、大電流化が進んでおり、発熱対策が課題となっている。機器が発熱する要因の1つが、機器内部の基板に搭載されているリレーである。従来の高容量リレーは、接触抵抗値が高く発熱によるエネルギーロスが課題となっていた。
新製品は、接触抵抗値を「業界トップクラス」(オムロン調べ)の0.2mΩにまで低くすることで、従来の一般的な高容量リレーに比べ、リレーの温度上昇を約30%抑えることができる。これにより、発熱対策用に設置していたヒートシンクや冷却ファンなどを簡素化でき、機器の小型化や軽量化にも貢献する。また、リレーの発熱を抑制することで、基板の温度上昇の低減につながり、機器の長寿命化などの効果も生むという。
低い接触抵抗値を実現できた要因には2つのポイントがあったという。1つ目が、材料の見直しだ。低接触抵抗に適した材料を模索し採用した。「詳細は話せないが、一般的には接触部の素材は銀を用いることが多い。リレーが高容量でも開閉を円滑に行えるようにするためには、この銀に別の素材を混ぜることで最適な特性を作り出している。しかし、混ぜ物が多くなると電力抵抗値は上がる。この混ぜ物と銀の比率をどう作り上げていくかというのがポイントだ」(オムロン)としている。
2つ目が、電流制御の方法だ。これはツイン接点を用いることで、電流を分散して扱うようにした。これにより発熱量を抑制することに成功したという。
また、200A(AC800V)を通電、遮断することができるため、大きな電流負荷を遮断する必要のある機器やアプリケーションに使用することが可能となる。高容量の電力制御用途として主に使用されるコンタクターから置き換えられることで、省スペース化などを実現できる。同程度の電流容量のコンタクターと比べ、部品本体の高さが3分の1程度に抑えられるため、機器の小型化に貢献する。
新製品の価格は「数千円というイメージだ」(オムロン)。今後は、まずは太陽光発電システムのパワーコンディショナー向けを一番のターゲットと位置付けつつ、EV急速充電器やロボットコントロール機器、蓄電池、産業用エアーコンディショナーなどの用途での活用を提案していくとしている。これにより、2025年には2億5000万円以上の売り上げに成長させるとしている。
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