PFUは小型組み込みコンピュータの新モデル「AR2100モデル120N/AR2200モデル120N」を発表。エッジIoT端末向けにLANを4ポートに増やし、半導体製造装置向けに錆やウィスカが出にくいステンレスを筐体に採用。併せて、4Kや8Kなどより高精細化が求められる専用モニターとの接続が必要な医療機器向けにDisplayPortを搭載した。
PFUは2021年6月25日、小型組み込みコンピュータの新モデル「AR2100モデル120N/AR2200モデル120N」の販売を開始すると発表した。エッジIoT(モノのインターネット)端末としての活用範囲が拡大していることからLANを4ポートに増やし、クリーンルームに設置される半導体製造装置向けに錆やウィスカが出にくいステンレスを筐体に採用。併せて、4Kや8Kなどより高精細化が求められる専用モニターとの接続が必要な医療機器向けにDisplayPortを搭載した。同年12月に出荷を始める予定。販売台数は「AR2000シリーズ」全体で今後3年間に2万台を目指す。
AR2100モデル120N/AR2200モデル120Nは、PFUが15年以上継承している組み込みコンピュータの主力製品であるAR2000シリーズの最新モデル。DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルツイン、IoT、工場、病院、社会インフラのスマート化などに向けて顧客に求められる機能や性能を強化する一方で、長年継承してきた顧客から高い評価を得ている特徴は維持している。
強化ポイントは「エッジIoT向けインタフェース増強」「ステンレス筐体採用」「性能向上」「メンテナンス性向上」の4つ。
1つ目の「エッジIoT向けインタフェース増強」では、通信によってさまざまな機器との連携を拡大できるように、LANを従来モデルの3ポートから4ポートに増やした。また、ディスプレイ表示インタフェースとして、これまでも搭載してきたアナログVGAとDVI-Dに加えて、DisplayPortを初めて採用した。「デジタルのディスプレイ表示インタフェースとしてはHDMIもあるが、医療機器業界で広く用いられている専用モニターに用いられているDisplayPortを搭載することにした」(PFU)。また、DisplayPortによってマルチディスプレイ表示も容易になるという。
LANの増設とDisplayPortの採用により、従来モデルと比べてUSBが6ポートから4ポートに減少し、アナログオーディオの入出力がなくなった。ただし、USBについては背面側に2ポート増設できるオプションを用意している。
2つ目の「ステンレス筐体採用」は、これまで採用してきた白色の処理鋼板筐体からの変更になる。組み込みコンピュータを搭載する機器の動作環境によっては、温度やそのサイクル、酸化・腐食性、外圧などによって筐体から錆やウィスカが発生する可能性がある。特に、クリーンルームに設置される半導体製造装置などは、錆やウィスカが基になる塵埃(じんあい)が致命的なトラブルを引き起こすことがある。今回のステンレス筐体の採用によって、錆やウィスカの発生を抑止し、塵埃の排出を極力抑えられる。また、コロナ禍に対応する医療現場などで衛生面が必要な環境で頻繁にアルコール消毒液で拭き取りを行う場合に処理鋼板筐体で起こり得る、コンピュータ表面の変色、変形なども起こらないという。
3つ目の「性能向上」は、新たな世代のインテル製プロセッサの採用によるものだ。AR2100モデル120N/AR2200モデル120Nでは、第9世代(Coffee Lake Refresh)の「Xeon E/Celeron」プロセッサあるいは第8世代(Coffee Lake)の「Core i3」プロセッサを搭載している。従来モデルの第6世代(Skylake)のプロセッサと比べて大幅な性能向上が図れているとする。
4つ目の「メンテナンス性向上」では、組み込みコンピュータで採用が拡大しているSSDについて、ネジレス装着が可能になった。AR2200モデル120Nの場合、搭載可能な2台のSSDを簡単に取り外し交換できる。
これらの他、従来モデルとサイズやネジの取り付け位置を同じにしていることや、アナログVGAとDVI-D、シリアルポートに代表されるレガシーインタフェースの継続搭載などの「高いコンパチビリティ」、自社開発のソフトウェアRAIDに代表される「高品質・高安定性」、カスタマイズ対応や海外規格認証、長期安定供給などによる「きめ細かなサポート」は、長年継承してきた特徴として維持している。
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