PFUは、同社の組み込みコンピュータ「ARシリーズ」向けのソフトウェア製品となる「組込み仮想化ソフトウェア」の販売を開始すると発表した。
PFUは2019年4月9日、同社の組み込みコンピュータ「ARシリーズ」向けのソフトウェア製品となる「組込み仮想化ソフトウェア」の販売を開始すると発表した。WindowsやLinuxなど異なるOSで動作するシステムを別々の組み込みコンピュータに実装して1つの筐体にまとめ上げている、組み立て製造ライン向けのHMI(Human Machine Interface)機器や制御機器、半導体製造装置などを、1つの組み込みコンピュータ上に仮想化して実装できる点が最大の特徴となる。
PFUが販売する組込み仮想化ソフトウェアは、特定組み込みコンピュータ向けにRAID機能を組み込んだ汎用仮想化ソフトウェアとしては「日本初」(同社)になるという。主な特徴は「マルチOSサポート」「従来OSサポート」「RAID機能」などだ。
マルチOSサポートでは、1つの組み込みコンピュータに最大4つのOSを搭載できる。異種OS、異世代OSの共存や連携も可能。OS間の通信は、仮想ネットワークによりセキュアかつ高速を実現しているという。なお、組み込みコンピュータに搭載するOSごとのハードウェア資源の割り当てについては、PFUが顧客の仕様に合わせてチューニングを実施した上で出荷する。「アプリケーション以外は全てPFUで面倒を見られるような体制を整えている」(同社)という。
従来OSサポートは、最新の組み込みコンピュータではサポートしていない旧世代OSを仮想化によって動作可能にする機能である。この旧世代OSとして想定されるのは、2020年1月にサポートが終了するWindows 7だ。なお、セキュリティについては、別途ホワイトリスト型のセキュリティソフトウェアなどで対応するとしている。
RAID機能では、ミラーリングを実現するRAID1によるデータ保全を提供。オートリビルド、オートコピーバックによる迅速なRAID復旧が可能で、パーティション機能で複数の論理ボリュームを構築して各OSに専用ボリュームを割り当てることもできる。また、組込み仮想化ソフトウェアの保守管理用に、簡単に操作できるWebGUIも標準で提供している。
組込み仮想化ソフトウェアに対応するARシリーズは、インテルの「Xeon」を搭載するミドルタワータイプの「AR8300モデル300L」「AR8300モデル310L」「AR8300モデル320L」の3機種。今後は、顧客の要望を踏まえて「Core i7」などを搭載する小型組み込みコンピュータのラインアップなどの対応も検討していく。また、製造装置だけでなく、医療機器や放送映像機器などの顧客にも提案を広げていきたい考えだ。
なお、PFUの組込み仮想化ソフトウェアは「第8回IoT/M2M展【春】」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で展示される予定である。
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