DXの差を生むディープラーニングの使いこなし方、人材育成が鍵にAI・人工知能EXPO(1/2 ページ)

「第5回 AI・人工知能EXPO 春」の技術セミナーに、東京大学大学院 工学系研究科 教授の松尾豊氏が登壇。DXが求められる中で、AIやディープラーニングの活用事例を披露した他、コロナが社会を変えつつある時代において、AIとディープラーニングがどのように社会や産業を変えるのか、AIの未来について解説した。

» 2021年06月15日 10時00分 公開
[長町基MONOist]

 「第5回 AI・人工知能EXPO 春」(2021年4月7〜9日、東京ビッグサイト)の技術セミナーに、東京大学大学院 工学系研究科 教授で日本ディープラーニング協会(JDLA) 理事長を務める松尾豊氏が登壇。「DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のAI(ディープラーニング)活用最前線」をテーマに講演を行い、DXが求められる中でのAI(人工知能)やディープラーニングの活用事例を披露した他、コロナが社会を変えつつある時代において、AIとディープラーニングがどのように社会や産業を変えるのか、AIの未来について解説した。また、自然言語処理に大きな進化をもたらしている「BERT」などのTransformer機械学習モデルの動向も紹介した。

3〜4年前と変わったディープラーニングの位置付け

東京大学大学院 教授の松尾豊氏 東京大学大学院 教授の松尾豊氏

 このところAIやDXという言葉がIT業界のキーワードとして、頻繁に登場するが、松尾氏は「もともとはデジタル、データの話と、AIの最先端技術であるディープラーニングの話は、別のものと思っている。ここ数年、特にディープラーニングの重要性を訴えてきたが、デジタル、データの重要性は、十年前、二十年前からあった。そこに最先端の要素としてAIが新しく加わってイノベーションが起こった。日本全体でみると、そもそもデジタル、データの活用がうまくいってない中で、AI技術をどのように捉え直すかが課題になっていると思う」と述べる。そして、「少しずつ状況は変化している。3〜4年前まではディープラーニングという技術そのものが大きく評価されていたが、最近では、ビジネス、業務フローの中での使い方やDXにおける位置付けが重要になっている」(同氏)という。

 ディープラーニングの活用事例は着実に拡大している。製造業では食品メーカーでの外観検査による不良品の検知や化学プラントの設備検査など応用されるケースが多数みられる。農業では収穫ロボットやドローンと組み合わせて農薬散布などに使われ、水産業では養殖における魚の採餌状況の管理などもあり応用範囲は広い。このように、徐々にディープラーニングの採用分野が拡大する中で、技術を担う人材の育成も力が注がれている。松尾氏が理事長を務めるJDLAでも、ディープラーニングを事業に生かすための知識を有しているかを検定するジェネラリスト検定(G検定)という資格制度を設けた。G検定の合格者を中心に、日本ディープラーニング協会のAIコミュニティーには日本最大規模の3万人以上が参加しており、同協会のイベント開催時には数多く人たちが集まるなど盛り上がりをみせている。

 また、全てのビジネスパーソンに向けた、AI/ディープラーニングについてまず「知る」ためのエントリー講座「AI for Every One(全ての人のためのAIリテラシー講座)」を開講した。同講座はDX化が進むこのデジタル時代において、AIはエンジニアだけでなくビジネスパーソンのコアリテラシーになっていることから、AIの基礎を学びたい人や今の組織を、AIを使いこなせる組織へと変革させたい人など幅広い層が受講できる内容となっている。

 この他、高等専門学校生が日頃培っているモノづくりの技術と、AI分野で特に成果を出せるディープラーニングを活用して、企業の評価額を競うコンテスト「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)」を主催している。2021年4月には第2回大会「DCON2021」が開かれたが、同協会によると、本選には、参加全43チームの中から二度の予選を経て勝ち残った10チームが出場。最優秀賞には過去最高額の6億円の企業評価額を受けた福井工業高等専門学校プログラミング研究会チームの「打音検査システム」が選ばれている。

東京都内で行われた「DCON2021」本選の様子 東京都内で行われた「DCON2021」本選の様子(クリックで拡大) 出典:JDLA
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