レーザー焼結技術を用いた航空機実装部品の製造資格をエアバスから取得:3Dプリンタニュース
マテリアライズは、EOS製の難燃性ポリアミド「PA 2241 FR」を材料にしたレーザー焼結部品の製造資格をエアバスから取得した。レーザー焼結による航空機の実装部品製造を認証された、最初のサプライヤーとなる。
Materialise(マテリアライズ)は2021年5月11日(現地時間)、EOS製の難燃性ポリアミド「PA 2241 FR」を材料として使用したレーザー焼結部品の製造資格を、エアバスから取得したと発表した。エアバスのプロセス仕様「AIPS 03-07-022」に基づき、レーザー焼結による航空機の実装部品製造を認証された最初のサプライヤーとなる。
PA 2241 FRは、同社が既にエアバスに納めている「Ultem 9085」を補完する3Dプリント材料となる。難燃性のポリアミド12をベースにしており、プライマーやトップコートを使用しない、火災、煙、毒性(FST)の要件を満たす航空機内装部品に適した材料である。
EOS製の難燃性ポリアミド「PA 2241 FR」を用いた造形サンプル(クリックで拡大) 出典:Materialise
なお、PA 2241 FRを3Dプリントするための各プロセスも認証の対象となっている。同社は今後、3Dプリンタ「EOS P 770」を含むEOSシステムを活用し、エアバス向けにPA 2241 FRを用いた部品を製造する予定。今回の認証はエアバス全体で有効となり、航空宇宙分野での樹脂3Dプリントの普及に向けた重要なマイルストーンになるとしている。
同社は現在、エアバスの「A350」向けに約100種類の部品を造形している。今回の新技術により、アディティブマニュファクチャリング(積層造形)技術の適応範囲拡大が期待される。
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- コロナ禍で生まれた3Dプリンタ活用の流れが、デジタル製造を加速
コロナ禍で、あらためてその価値が再認識された3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリング。ニューノーマルの時代に向け、部品調達先や生産拠点の分散化の流れが加速していく中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、その活用に大きな期待が寄せられている。2021年以降その動きはさらに加速し、産業界におけるデジタル製造の発展を後押ししていくとみられる。
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。
- 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.