オリンパスらは、携帯電話ネットワークを用いて、消化器内視鏡映像と手技風景映像を4K映像でリアルタイムに伝送する実証実験に成功した。内視鏡映像だけでなく、検査をする医師の手元の様子を内視鏡画像と合成した映像も、遅延なく伝送できた。
オリンパスは2021年5月24日、携帯電話ネットワークを用いて、消化器内視鏡映像と手技風景映像を4K映像でリアルタイムに伝送する実証実験に成功したと発表した。NTTドコモ、神戸大学、香川大学、日本赤十字社高知赤十字病院(高知赤十字病院)と共同で実施した。
同年3月30日に実施した実証実験では、オリンパスが製造、販売する最上位機種の内視鏡システム「EVIS X1(イーヴィス エックスワン)」と、HEVCや4K画質に対応する小型モバイル中継装置「LiveU(ライヴユー)」、4Gを6回線束ねた5Gと同等レベルのNTTドコモ携帯電話回線を用いた。
高知赤十字病院で実施した内視鏡検査の映像を、神戸大学、香川大学それぞれの医学部附属病院と高知赤十字病院のカンファレンスルームに伝送して共有し、検査映像を遠隔地から医師に確認してもらうという模擬トレーニングを試みた。その結果、内視鏡映像だけでなく、検査をする医師の手元の様子を内視鏡画像と合成した映像も、遅延することなく伝送できた。
同実証実験は、NTTドコモが2020年9月30日に発表した「5Gを活用した映像伝送ソリューションの医療機関向けモニタープログラム」によるもので、同プログラムに参画している大学や病院、企業が今回の実証実験に関わっている。
実験後、対応した医師に所感を尋ねたところ、「映像に線や図形を描画するアノテーション機能が追加されると、より良いツールになると思われる」「音声についてはさらなる改善が必要」「病院同士の連携や遠隔地からの診断支援などができるようになり、医療技術の向上につながる」「コロナ禍で医療技術の見学や実習が制限される中、それらを解決する有用な手段の1つ」などの声が寄せられた。
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