同社は、最大1万個程度の量産ニーズに応える新機種としてPBF方式3DプリンタのH350を投入する。パウダーベッドフュージョン方式は、一般的にレーザーを用いるものと、プリントヘッドを用いるものとに区分されるが、H350は後者に当たり、独自のSAFテクノロジーを搭載することで、高い費用対効果と高品質な機能性パーツの製造を実現しているという。
SAFテクノロジーを用いた造形プロセスでは、まずカウンター回転式ローラーで粉末の層を沈殿させて平たんにし、次に圧電(ピエゾ)プリントヘッドによって、赤外線吸収流体を粉末床へ選択的に噴射する。続いて、赤外線ランプが粉末床の表面を通過(赤外線を照射)して、赤外線吸収流体が噴射された選択領域の粒子と下層の粒子を融合させていく。そして、最終的に冷却プロセスを経て材料を結晶化させる。SAFテクノロジーでは、これら一連のプロセスを単一方向で行う(単一方向のインライン構造を採用する)ことで粉末床に対して均一な加熱を実現し、庫内全体でのパーツの安定性(品質)を高めている。
H350の最大造形サイズは315×208×293mmで、積層ピッチは100μm。使用できる材料として最初に提供開始するのが「PA11」(ホワイト)であるという。装置本体のサイズは1900×940×1710mmで、重量は800kgとなる。3DプリントソフトウェアはGrabCAD Printをサポート。1年間の製品保証が付き、プリントヘッドと消耗品は保証と保守契約サービスに含まれる。一般的なサーマル方式のプリントヘッドの場合、消耗品であるため定期的に交換する必要があるが、ピエゾ方式のプリントヘッドであれば耐用年数の範囲で長く使用できるという。
また、H350は生産性にも優れており、1回の造形でより多くのパーツを配置できる(ネスティング密度が高い)他、使用した材料の約80%を再利用粉体として利用可能だとする。主な用途としては、ヒンジやクリップ、スナップフィットのような構成部品を伴うパーツ、高品質で耐久性が要求されるパーツ、ブランケットなどの負荷支持パーツや治具などを見込む。H350の受注および出荷開始は、Origin Oneと同じく2021年度第3四半期以降を計画している。
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