いすゞ自動車は、ガラスと触れ合い、素材としての面白さを体験できるガラスを主役にした作品「ガラスの花」を出品した。つぼみから開花までをイメージしたガラス製の花にはサンドブラスト加工などが施されており、光を与えることで美しい花のシルエットが浮かび上がる作品。熱反射ガラス(ハーフミラー)を用いた合わせ鏡により、光の茎が伸びたように見える。ガラス製の花を持ち上げると光が消え、元に戻すと再び光り出す、触れて楽しめる演出を通じて、ガラスの美しさや表情の変化を感じ取ることができる。
ミラー、熱反射ガラス(ハーフミラー)、リヒート型成形、電磁遮蔽(しゃへい)ガラス、クリアサイト、サンドブラスト、ガラス成形
トヨタ自動車の2つ目の作品は、本来は硬くて冷たいガラスが、見る人の心を優しく温める存在にもなり得るという可能性を追求したガラスのたき火「Glass Camp」だ。薪に使われているのがAGCの分相ガラス。白い光を当てるとガラスの中でレイリー散乱を生じて、ガラスの薪の内部から発熱しているように赤く色付く。ガラス表面も本物の薪を3Dスキャンして得たテクスチャーを施した。その際の型として、AGCの3Dプリンタ用セラミックス造形材「Brightorb」を使用。つるされたガラススピーカーからは、実際にガラスを割ったときの音を用いて“パチパチ”と薪が燃える音が聞こえ、薪をうちわであおぐとガラス内部の赤色が強まったり、弱まったりと変化する凝った演出も確認できる。
分相ガラス、ガラス振動板(スピーカー)、3Dプリンタ用セラミックス造形材「Brightorb」
ホンダの作品は「空気清浄木」だ。コロナ禍でさまざまな制約や我慢が強いられ、先の見えない息苦しさやモヤモヤとした気分が漂う世の中に対して、「空気感を浄化する体験」を提供したいという思いから生まれた作品。展示ブースの天井に設置された回転式の照明からは、赤色を基調にしたランダムな光が壁に投影され、ゆがみを持たせたガラス製の照明カバーによって不安を煽られるような雰囲気が作り出されている。そして、ブース中央に垂らされた1本のひもを引くことで、“8.2秒”の浄化体験が味わえる。工業製品ではあり得ないような不規則性やゆがみをあえて取り入れることで、見事な空間演出を実現している。
3Dプリンタ、ガラス表面パターニング、ガラス成形、光学パターニング
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