バイオ医薬品の大規模製造拠点を新設、富士フイルムが米国ノースカロライナ州に:工場ニュース
富士フイルムは2021年3月19日、米国に新設するバイオ医薬品の大型製造拠点をノースカロライナ州のホーリースプリングス市に建設することを決定したと発表した。2000億円を超える大規模投資を行って新設し、バイオ医薬品の開発および製造受託事業の戦略拠点とする。
富士フイルムは2021年3月19日、米国に新設するバイオ医薬品の大型製造拠点をノースカロライナ州のホーリースプリングス市に建設することを決定したと発表した。2000億円を超える大規模投資を行って新設し、バイオ医薬品製造受託会社(CDMO)の中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)の米国ノースカロライナ拠点の第2サイトとする。
富士フイルムは、FDBの米国(ノースカロライナ州・テキサス州)、英国(ビリンガム市)、デンマーク(ヒルロッド市)の拠点に、バイオ医薬品の生産能力増強や高効率、高生産性技術への開発投資を積極的に行い、バイオ医薬品の開発および製造受託事業の拡大に取り組んでいる。
この流れの中、拠点内での原薬製造から製剤化、包装まで一貫して受託できる「ワンサイト・ワンストップ」体制の構築に向け、2020年6月にデンマーク拠点に約1000億円の設備投資を決定。2023年の稼働を目指して、原薬製造設備の増設や製剤製造ラインの新設などを進めている。
同様に米国での生産能力強化に向けて2021年1月にバイオ医薬品の大型製造拠点の建設を発表。その建設地を今回、FDBのノースカロライナ拠点近郊であるホーリースプリングス市に決定した。
新設拠点の予定地は、約61万m2の敷地に、2万リットル動物細胞培養タンクを8基導入。同培養タンクの容量は計16万リットルとなり「北米におけるバイオCDMO製造拠点としては最大」(富士フイルム調べ)だという。さらに、2万リットル動物細胞培養タンク24基を追加で導入できる拡張性も備える。また、大型の全自動型製剤製造ラインや多様な製品形態に対応する包装ラインも設置する。
さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用をはじめ、環境プログラムの推進が活発に行われているノースカロライナ州の利点を生かし、地元政府や企業との連携による環境負荷低減の仕組みを積極的に取り入れる方針。新拠点での使用電力の全てを再生可能エネルギー由来の電力で賄うことを計画する。着工は2021年後半で2025年春の稼働を予定している。
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