2020年度は、7社のプロジェクトメンバーを中心にIVI内で4つのシナリオをベースにした実証実験を行った。具体的には以下の4つのテーマで取り組んだ。
DMG森精機を中心に取り組んだ「製造ノウハウを含むデータの知財管理」では、工作機械における加工データの円滑な連携を実現するためにCIOFを活用した実証を行った。製造業にとって製造工程における加工データは重要な価値を持つ。一方で、技術者不足が全世界的に高まる中、こうしたノウハウを一元管理し、有効活用する必要が生まれていた。そのため、生産管理システムと加工管理システムとの間で加工データを連携。機械状況を生産管理側で把握できる仕組みを開発するとともに、複数台の加工機の連携を支援し、サービス内容に応じて、機械に送られたデータの作成や照会や削除を記録するという仕組みを構築した。
ジェイテクトとDTSが取り組んだ「品質データ管理による高付加価値経営」では、品質不正問題などへの対応を念頭に、現場での品質に関するデータの一元管理と活用についての仕組みの構築に取り組んだ。具体的には、データ提供側となる加工工場の品質データ自動入力とそのリアルタイムでの一元管理、さらに納入先企業への安全な情報提供の仕組みを検証した。
ビジネスエンジニアリングと三菱電機が中心となって取り組んだ「つながる中小製造業の競争力強化問題」では、大企業を想定したメーカーと中小企業を想定したサプライヤー、テストハウス(検査専門企業)との間でのデータ連携をCIOFを通じて行う仕組みを構築し、実証を行った。取り組みの過程で、既存ソフトウェアとの連携を進めるCIOFコネクターや、利用するためのエッジソフトウェアなどを開発し、さらに今後は第三者を通じた実証を進めるとしている。
SCSKと安川電機が中心となって取り組んだ「AIによるエッジデータ収集と価値の共有」では、装置の予知保全を目的とし、収集した装置のデータを故障予知のための学習モデルを生成するデータ解析業者にデータ提供をするというシナリオで実証に取り組んだ。装置のデータを第三者への流出なく安全に提供できるかどうかという点でCIOFを通じた仕組みの構築を進めた。
これらを踏まえ、2021年度にはCIOFバージョン3(商用版)をリリースし、事業としての検証をIVI内で推進する方針。2022年度にはこれらの枠組みを商用サービスとして展開する計画だとしている。
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