さまざまな製造IoTデータを容易に連携、CIOFが2022年に商用化へIVI公開シンポジウム2021春(2)(2/2 ページ)

» 2021年03月15日 11時30分 公開
[三島一孝MONOist]
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具体的なデータ連携の仕組みを検証

 2020年度は、7社のプロジェクトメンバーを中心にIVI内で4つのシナリオをベースにした実証実験を行った。具体的には以下の4つのテーマで取り組んだ。

  1. 製造ノウハウを含むデータの知財管理(DMG森精機)
  2. 品質データ管理による高付加価値経営(ジェイテクト、DTS)
  3. つながる中小製造業の競争力強化問題(ビジネスエンジニアリング、三菱電機)
  4. AIによるエッジデータ収集と価値の共有(SCSK、安川電機)

 DMG森精機を中心に取り組んだ「製造ノウハウを含むデータの知財管理」では、工作機械における加工データの円滑な連携を実現するためにCIOFを活用した実証を行った。製造業にとって製造工程における加工データは重要な価値を持つ。一方で、技術者不足が全世界的に高まる中、こうしたノウハウを一元管理し、有効活用する必要が生まれていた。そのため、生産管理システムと加工管理システムとの間で加工データを連携。機械状況を生産管理側で把握できる仕組みを開発するとともに、複数台の加工機の連携を支援し、サービス内容に応じて、機械に送られたデータの作成や照会や削除を記録するという仕組みを構築した。

 ジェイテクトとDTSが取り組んだ「品質データ管理による高付加価値経営」では、品質不正問題などへの対応を念頭に、現場での品質に関するデータの一元管理と活用についての仕組みの構築に取り組んだ。具体的には、データ提供側となる加工工場の品質データ自動入力とそのリアルタイムでの一元管理、さらに納入先企業への安全な情報提供の仕組みを検証した。

photo 「品質データ管理による高付加価値経営」のシステム構成(クリックで拡大)出典:IVI

 ビジネスエンジニアリングと三菱電機が中心となって取り組んだ「つながる中小製造業の競争力強化問題」では、大企業を想定したメーカーと中小企業を想定したサプライヤー、テストハウス(検査専門企業)との間でのデータ連携をCIOFを通じて行う仕組みを構築し、実証を行った。取り組みの過程で、既存ソフトウェアとの連携を進めるCIOFコネクターや、利用するためのエッジソフトウェアなどを開発し、さらに今後は第三者を通じた実証を進めるとしている。

 SCSKと安川電機が中心となって取り組んだ「AIによるエッジデータ収集と価値の共有」では、装置の予知保全を目的とし、収集した装置のデータを故障予知のための学習モデルを生成するデータ解析業者にデータ提供をするというシナリオで実証に取り組んだ。装置のデータを第三者への流出なく安全に提供できるかどうかという点でCIOFを通じた仕組みの構築を進めた。

photo 「AIによるエッジデータ収集と価値の共有」のシステム構成(クリックで拡大)出典:IVI

 これらを踏まえ、2021年度にはCIOFバージョン3(商用版)をリリースし、事業としての検証をIVI内で推進する方針。2022年度にはこれらの枠組みを商用サービスとして展開する計画だとしている。

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