「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2019年3月14〜15日、都内で「IVI公開シンポジウム2019-Spring-」を開催。その中で、DMG森精機、日立製作所、ファナック、三菱電機とともに、共同開発してきた、プラットフォーム間で製造データを自由に流通させられるフレームワーク「コネクテッドインダストリーズオープンフレームワーク(CIOF)」の実証成果を披露した。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2019年3月14〜15日、都内で「IVI公開シンポジウム2019-Spring-」を開催。その中で、DMG森精機、日立製作所、ファナック、三菱電機とともに、共同開発してきた、プラットフォーム間で製造データを自由に流通させられるフレームワーク「コネクテッドインダストリーズオープンフレームワーク(CIOF)」の実証成果を披露した。
「CIOF」は、日本政府が提唱する「Society 5.0」や「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」を実現するために必要となる「製造プラットフォームオープン連携事業」として、産業データ共有促進事業費補助金を経済産業省から受けて、進められたものである。
スマートファクトリー化など工場でのデータ活用への取り組みは加速しているが、一方でIoT(モノのインターネット)などに関連する技術は非常に多い。そこで必要なリソースを取りまとめた「プラットフォーム」を構築する動きが進んでいるが、領域が幅広い他、業種や職種などによってさまざまな切り口が存在するために、今度はそのプラットフォームが乱立する状況が生まれている。
一方でプラットフォーム間の連携を実現するにはそれぞれで、API(Application Programming Interface)を開発するなどの負担が発生する。それも1対1の接続であれば、それほど大きな負担とならないが、工場などでは1対多や多対多という連携の必要となり、これらの負担が大きくなる。そのためなかなかデータの一元管理や全面的な活用につながらないという状況があった。
「CIOF」はこれらの課題を解決するために、既存のプラットフォーム内のシステムやデータ設定などを大きく改変することなく、容易にデータ連携を実現するための仕組みである。2018年12月に仕様公開され、2019年3月4日に正式公開されている※)。
※)関連記事:製造IoT基盤間のデータ連携、日立、三菱、ファナック、DMG森精機らが共同開発
容易にデータ連携を実現するために工夫した点が2つある
。1つ目は「2つの辞書」を活用したという点である。通常のシステム間のデータ連携であれば、共通の用語を定義し、それぞれ側が共通の意味でデータを記述し活用できるようにする必要があった。これではシステム連携をさせるためには、データ取得の設定を全てやり直す必要があり、大きな負担が生まれることになる。
一方で「CIOF」がとった2つの辞書を活用する仕組みでは、まずデータ取得に関する独自の用語などを定義した「個別辞書」をそれぞれのシステムが構築する。そして、システム間に「共通辞書」を設置する。この「個別辞書」と「共通辞書」で関連付けを行うことで、容易にあるシステムで得られたデータを別のシステムで活用することが行えるようになる。
辞書によるデータ変換の流れを順番に説明してみる。Aというシステムで生み出されるデータはまず「個別辞書A」で定義付けられ、そこから各データ定義などに関連付けられた「共通辞書」によりデータ(共通)に変換される。その後Bというシステムでこのデータを使うということになれば、「共通辞書」と関連付けられた「個別辞書B」により、データ(共通)を再変換する。これでシステムBでもシステムAで生まれたデータを使えるようになるという仕組みである。もちろん、システムCやシステムDでも使うことが可能で、先述したように1対多や多対多の連携にも強みを発揮する。
2つ目のポイントが「契約」の概念を取り入れたという点である。システム連携を実現する際に最初に、データの利用範囲や対象者などを限定することができるような仕組みを取り入れている。そのためにデータを渡すときにはまずは契約を行う。「他社とのシステム連携が必要だが、出したくないデータもある」という場合、従来は個別のシステム開発などが必要になるが、「CIOF」であれば「契約」の仕組みが既に入っているためにすぐに提供データを限定することが可能だ。
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