日本精工は、工作機械向けスピンドル用の軸受について、作業負荷を低減し、信頼性を向上する技術を開発した。慣らし運転時間の短縮と異常昇温の低減により、工作機械組み立ての生産性向上に貢献する。
日本精工は2021年1月15日、工作機械向けスピンドル用の軸受について、慣らし運転などの作業負荷を低減し、信頼性を向上する技術を開発したと発表した。自動車部品や一般機械部品の加工用マシニングセンタなどで使用されるビルトインモータースピンドルの、リア側支持用軸受に最適な技術となる。
マシニングセンタのスピンドルに使われる単列円筒ころ軸受は、適切なグリス潤滑のために長時間の慣らし運転を必要とする。さらにオイルエア潤滑の場合は、低速回転時に軸受温度が異常に上昇するといった課題があった。これらは、保持器の位置を安定する方法として「ころ案内方式」を用いれば解決できるが、保持器に過大な力がかかり破損しやすいため、これまで「外輪案内方式」が広く使われてきた。
今回、保持器の形状と材料を最適化することで、高い耐久性を持つ、新しいころ案内方式保持器の開発に成功した。保持器形状の改良は、余剰グリスが排出しやすくなる効果もあり、慣らし運転にかかる時間を一般的な外輪案内方式と比較して最大約7割短縮する。また、オイルエア潤滑においても軸受の異常昇温を低減でき、信頼性の高い、安定したスピンドルの運転が可能となる。
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