ラストマイルでの食品ロスも大きな課題となる。パナソニックにおける中国でのコールドチェーン事業を担当する松下冷鏈 新小売り事業センター所長 于燕(うえん)氏は「中国は共働きの割合が高く、生鮮食料品の買い出し頻度は週に1、2回程度だ。そのため、短期間に冷蔵庫内に大量の食材、食品がストックされることになるが、使い切るまでに時間がかかり、食品が傷む割合も高い。生鮮食品販売店での食品、食材廃棄は高く、金額ベースでは年間で20万元前後に相当する食品ロスが出ている」と指摘する。
こうした課題を解決し得るのが、冷蔵機能などを搭載した食品受け取り用ケース「Smart Locker」である。消費者が野菜や肉類などの生鮮食料品をオンラインで注文すると、商品がSmart Lockerへと配達され、24時間好きなタイミングで受け取れるようになる。受け取り時のケース解錠は、スマートフォンでコードをスキャンするだけで済むので、利便性が高いという。
ケースはパナソニックが開発した熱輻射技術と、IoT(モノのインターネット)センシング技術が搭載されており、温度制御を自動で行える。加熱型や冷蔵型、冷凍型、保温型、常温型などがあり、食品に応じて使い分けられる。これによって、消費者側と店舗側双方での冷凍生鮮食料品の廃棄比率低下とともに、顧客満足度の向上も狙う。
既に中国EC大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)傘下の生鮮食料品スーパーマーケット「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」が上海市で展開する朝食専門店などでの活用事例がある。
中国市場におけるパナソニックの事業展開を担当する、パナソニック 中国・北東アジア社 副社長 横尾定顕氏は、「中国におけるコールドチェーン発展の遅れは、中国政府も問題意識をもっており、積極的な推進を図っている。その中で当社は、冷凍商品を中国でスピーディーに開発して、コールドチェーン発展に貢献していければと考えている」と語った。
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