アルミ並みの強化が可能、ナイロンベースのESD対策専用3Dプリンタ材料を発売:3Dプリンタニュース
Markforgedは、電子機器や電子部品の開発、製造に必要となるESD対策プラスチックマテリアル「Onyx ESD」を発売した。ナイロンベースにマイクロカーボンファイバーと添加剤を配合し、ESD性能を備えた。
Markforgedは2020年12月9日、電子機器や電子部品の開発、製造に必要となるESD(Elecro Static Dissipative:静電気拡散)対策プラスチックマテリアル「Onyx ESD」を発売した。ESD対策専用に開発され、強度、精度、表面品質を併せ持つ。
3Dプリンタの一般的な材料は、対象物に静電気放電を発生させる可能性があるため、静電気に弱い電子機器や部品の利用に適していない。Onyx ESDは、ナイロンベースにマイクロカーボンファイバーと添加剤を配合し、ESD性能を備えた。これにより、電子基板の治具や固定具、搬送トレイなど静電気放電の防止が必須となるさまざまな用途で使用できる。
Markforgedの産業用3Dプリンタ(クリックで拡大) 出典:Markforged
ESD対策専用に開発され、強度、精度、表面品質も併せ持つ。表面抵抗値は、105〜107Ωを維持し、理想的な静電気拡散性能を持つ。曲げ強度は83MPaだが、カーボンファイバー、 ファイバーグラス、ケブラーなどの長繊維と一緒にプリントすれば、アルミ並みの最大540MPaに強化できる。
同社の産業用3Dプリンタ「X3」「X5」「X7」の3機種に対応し、部品や付属品の試作、治具、工具、ケースの製作、少量ロット最終製品などの用途で利用できる。3Dプリントを使ってこれらを内製化することで、製造コストとリードタイム削減につながる。また、クラウド上に接続されたプリンタに、データをワンクリックで出力することも可能だ。
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- JVCケンウッドが痛感した3Dプリンタの量産活用における難しさと解決への筋道
日本HP主催「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 〜3Dプリンターによる、ものづくりのデジタル革新〜」において、JVCケンウッドは「JVCケンウッドが推進するデジタルマニュファクチャリングの取り組み」をテーマに講演を行った。
- 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。
- 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.