架台内の雰囲気温度の上昇による影響を検証する:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(8)(3/3 ページ)
ファンによる強制排気の有無の比較を行うと、その分布の傾向は異なり、排気ありの方が架台ベース面の温度が低いことが分かります。なお、架台の内部構造については、その傾向が同じことから、対流や輻射よりも固体の熱伝導の影響が大きいということがいえそうです。
今回の解析は、筆者がこれまで業務で経験してきた架台の検証をテーマに、ひとまず、電装盤そのものを一塊の熱源として考えましたが、電装盤内の機器を熱源として、架台内の排熱を検証することも可能です。
いずれにしても、熱源となる電源系や制御系の電装盤によって上昇する架台内の雰囲気温度の影響を検証できるということは、強度と同様に問題となることの多い、“熱問題”に対し、設計段階で取り組めるということを意味します。
図10 解析の流れ [クリックで拡大]
CAEは既知データから結果データを得るものなので、モデル形状やメッシュ精度による影響もあります。実際、今回の架台の検証で使用した解析モデルと詳細設計のモデル形状は異なりますし、解析設定上、反射率はデフォルト値を使用しているため、厳密に言えば現実とは異なります。
また、解析の計算部については、ハイエンドCAEのように理論式を適用するものもありますが、ミッドレンジCAEでこうした計算式を編集し、解析した経験は筆者にはありません。
設計者CAEの対象物は、詳細設計を経て現実の製作が行われます。この現実世界での実物による実験を行う時間を厳しい納期の中で確保することは容易ではありません。しかし、机上での解析結果の妥当性を検証する上で、実物の実験結果を得ることはさらなるCAEの信頼性、精度向上のために必要なことでもあります。
次回は再び構造解析に戻ります、お楽しみに! (次回へ続く)
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土橋美博(どばし・よしひろ)
1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。
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