それでは、タイヤ力がリアルタイムで把握できることで実現できる価値としてはどういうものがあるのだろうか。榊原氏は「タイヤ力と他の技術や情報を組み合わせることで、さまざまな価値を生み出すことができる」と語っている。
例えば、タイヤ力と自動ブレーキ機能を組み合わせることで、より正確な制動距離(ブレーキから実際にクルマが止まるまでの距離)を把握できるようになる。「安全に停止できる距離などが分かるため、適正な車間距離を取る注意を喚起することなども可能になる」と榊原氏は述べる。
また、タイヤ力と地図情報(ナビ)を組み合わせることでコーナリングフォースを推定でき「今のタイヤの状態と速度で次のカーブが曲がれるかどうかが分かるようになるので、難しければ減速アラートを出すなど、安全喚起を図ることが可能となる」(榊原氏)。
その他、タイヤ力と天候情報の組み合わせによる安全訴求や、タイヤ力とタイヤ状態の組み合わせによる予防保全など、さまざまな活用方法が考えられるという。
榊原氏は「クルマで路面と接する唯一の存在であるタイヤを、新たなデータを取得するセンサーとして位置付け、さまざまなデータを取得し、これらを他のデータと組み合わせることで新たな価値を生み出すことができる。今描けている価値だけではなく、今後も新たな外部情報との組み合わせによるアップデートが必要だと考えている。共創パートナーなどとの協業なども進め、さらに価値を広げていきたい」と語っている。
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