ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、YouTube公式チャンネルにおいて、2020年11月12日発売予定の最新ゲーム機「PlayStation 5」(PS5)の分解映像を公開した。メイン基板や冷却機構といった普段見ることができない筐体内部の構造などを惜しげもなく披露している。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2020年10月7日、YouTube公式チャンネルにおいて、同年11月12日発売予定の最新据え置き型ゲーム機「PlayStation 5(以下、PS5)」の分解映像を公開した。
同映像では、ユーザー自身がアクセスできる本体スタンド(台座部)や本体両側面を覆う白色の化粧パネルの取り外しに加え、メイン基板や冷却機構といった普段見ることができない筐体内部の構造などを惜しげもなく披露している。
PS5(ディスクドライブ搭載モデル)の本体サイズは、幅104×高さ390×奥行260mmと現行の「PlayStation 4(以下、PS4)」(幅265×奥行288×高さ39mm)よりも一回り大きい。圧倒的な処理能力、グラフィックス性能を実現しつつ、静音性を確保する上で必要なサイズアップだったという。
本体の前面と背面には、各種USBポートや有線LANポート、HDMIなどが配置されており、本体前面部の白色の化粧パネルと黒いボディーの隙間(2列)が吸気口、背面のほぼ一面が排気口として機能する。
PS5本体は付属のスタンドによって縦置き、横置きどちらにも対応する。縦置き時はコインネジでスタンドと本体を固定。横置き時は、スタンドのベースの突起部を本体取り付け位置に差し込めばよい。なお、横置き時に使用しないコインネジはスタンド内部に収納できる仕様になっている。
白色の化粧パネル(両側面)は、本体後ろ側の角を持ち上げるようにしてスライドすることで取り外すことが可能。ここで、両面から大量の空気を吸い込み、筐体内部に送り込む大きな冷却ファンが確認できる(詳細後述)。また、外気を吸い込んだ際、一緒に取り込まれてしまうホコリなどをキャッチする、ダストキャッチャーが2箇所設けられており、ユーザー自身が掃除機などでたまったホコリを除去できるようになっている。さらに、将来のストレージ拡張用にPCI Express 4.0(PCIe 4.0)対応M.2 NVMeインタフェースも備わっている。
ここまでがユーザー自身がアクセスできる範囲だ。同映像では、封印シールなどを取り除き、本格的な分解が進められていく。
まず、冷却ファンだ。筐体内部を効率的に冷却するため、直径120mm、厚さ45mmの両面吸気式の大型ファンを採用している。さらに内部を覆うケースを取り外すと、Ultra HD Blu-ray対応のドライブユニットが姿を見せる。ドライブユニット自体は板金ケースで完全に覆われており、2重のインシュレーターでマウントすることにより、ディスク回転時の駆動音と振動を低減させているという。
Wi-Fi 6やBluetooth 5.1のアンテナに接続されるケーブル、さらにはシールド板を取り外すと、ようやくメイン基板が顔をのぞかせる。CPUは「x86-64-AMD Ryzen “Zen 2”」(8コア16スレッド、最大3.5GHz)、GPUは「AMD Radeon RDNA 2-based graphics engine」を搭載。システムメモリはGDDR6 16GB(バンド幅は最大で毎秒448Gバイト)、ストレージは825GBのSSDがオンボードで実装されている。カスタムのSSDコントローラーにより、読み込み速度は生データの転送速度で5.5GB/sと高速化され、ゲームのロード時間を大幅に短縮できたとする。
PS5はミッドレンジからハイエンドクラスのゲーミングPCの性能に匹敵するといわれている。そのため、長期で安定した冷却性能の実現が重要だったという。
「PS5のSoCは、小型のダイを非常に高いクロック(周波数)で動作させている。そのため、シリコンダイの熱密度が非常に高くなり、SoCとヒートシンクの間に挟む、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる熱伝導性材料の大幅な性能アップが必要だった」(同社)
そこで採用したのが液体金属だ。長期間、安定した高い冷却性能を実現するために、同社は2年以上前からTIMに液体金属を採用するための準備を進め、考え得るありとあらゆる試験を実施した後、PS5への採用に至ったという。
これと併せて、ヒートシンクに関しては「PlayStation 3(PS3)」やPS4と同じくヒートパイプを用いた構造を採用しているが、形状やエアフロ―を工夫することで、ベイパーチャンバーと同等の放熱性能を実現したとしている。
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