SAPジャパンは2020年6月16日、「SAPPHIRE NOW 2020」をオンラインで開催した。SAP CEOのクリスチャン クライン氏によると同社の製品、ソリューションには「アプリケーションの統合の容易さ」と「導入から価値実現までのスパンが短い」という特徴があるという。
ドイツSAPは、2020年6月15〜18日(現地時間)の期間、年次ユーザーイベント「SAPPHIRE NOW 2020」をオンラインで開催している。同社は毎年、米国オーランドでリアルイベントとしてSAPPHIRE NOWを開催してきたが、今回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応するためオンライン開催となった。本稿は、SAP CEOのクリスチャン・クライン(Christian Klein)氏が、SAPの製品やソリューションが持つ特徴や強みを解説した6月16日の基調講演を抜粋してお届けする。
冒頭、クライン氏はCOVID-19の影響について触れて「今後の企業がより大きな成長を遂げるには『回復性』『収益性』『サステナビリティ』の3つがキーとなるだろう。特に回復力は大事だ。これが無ければ今後の収益性も見込めなくなる。この点でいうと、デジタル技術を駆使してビジネスモデルへの転換、業務の自動化、サプライチェーンの最適化を推進してきた企業はコロナ危機の渦中でも大きな回復力を見せているように思われる」と指摘した。その上でクライン氏は、デジタル技術を用いたビジネス変革を進める上では、SAPの展開するCRMアプリケーションスイートである「SAP C/4HANA」やサプライチェーン管理ソフトウェア「SAP Digital Supply Chain」などの製品、ソリューション群が大きく役立だろうと強調した。
「この他にもSAPのエクスペリエンス管理ソリューションを使えば、顧客や従業員、ステークホルダーの感情や感覚に関するインサイトをまとめたエクスペリエンスデータを生成できる。また当社製品、ソリューションの技術基盤となるBusiness Technology Platformを使うことでSAP製品や他社製品で取得したデータを全て統合するとともに、相互アナリティクスやエンドツーエンドのレポート作成、各種計画策定も行える。これにより顧客が自社ビジネスを全方位的に把握できるように支援する」(クライン氏)
続けてクライン氏は他社製品、ソリューションと比較した際のSAPの優位性を説明した。
1つはアプリケーション間の統合が容易であることだ。近年、全ての顧客に画一的な商品を販売するという従来のビジネスモデルが見直され、顧客の特性や要望に応じてパーソナライズされた製品を提供するビジネスモデルへと転換を進める企業が増えている。こうした取り組みを行う企業は、規模や業種にかかわらず「ビジネスプロセス全体を統合し、バリューチェーン全体でデータモデルを共有する仕組みづくりが必要になる」(クライン氏)。このためには業務のデジタル化推進はもちろんのこと、それを支える業務アプリケーションにも統合のための仕組みがあらかじめ備わっていることが望ましい。SAPの製品群はこうした条件を満たしているとクライン氏は語る。
もう1つの理由は製品、ソリューションの導入後、価値実現までにかかるスピードだ。「業務のデジタル変革のためとはいえ、実稼働に3年かかるITプロジェクトを延々と進めていくことは、今日の急速に変化するビジネス環境を鑑みると好ましいとはいえないだろう。求められているのは価値実現までの時間短縮化。当社はこうした要望に応えるため、クラウドを活用した製品、ソリューションのリリース速度を高速化している。刻々と移り変わる顧客のニーズを素早く拾い、顧客が求める価値をいち早く実現する手助けをするためだ。実際の成果として、スタックのモジュール化によりSAP C/4HANA Publicを平均4カ月未満で導入できるようにした」(クライン氏)。
講演の最後にクライン氏は「SAPのソリューションを速やかに導入し、販売後のアフターフォローを含めて長期的に支援する。これが当社の使命だ。こうした取り組みの成果として、『Forbes Global 2000』に選出された企業の92%が当社製品を導入している、という結果につながっているのだと思う。顧客が導入したシステムの価値が社内に根付き、真のビジネス改革が実現できるようこれからもサポートしていく」と展望を語った。
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