OKIエンジニアリングはCB証明書のワンストップ申請サービスを提供開始する。電気製品の安全性に関する規格の各国申請手続きを簡便化し、メーカーのグローバル展開を効率化する。
OKIエンジニアリングは2020年4月1日から、EMC(Electro Magnetic Compatibility)など電気製品の安全性に関する規格の各国申請手続きを簡便化できるCB(Certification Body)証明書のワンストップ申請サービスをメーカー向けに提供開始する。またこれに先立ち同社は、同社拠点の1つであるOKIエンジニアリング 本庄センター(埼玉県 本庄市)が、CB証明書発行試験を実施できるCBTL(CB認定試験所)として認定を受けたと明らかにした。
OKIエンジニアリングで取締役 執行役員 EMC事業部長を務める菊池秀克氏は「メーカーが製品を海外展開する際には、販売先の国の安全性規格認証取得が必要になる。しかし、その手続きの負担が大きいことが課題だ」と指摘する。家庭用供給電圧の基準値が国や地域で異なることに代表されるように、安全基準は各国で異なる。このため複数の国で製品展開を行うためには、毎回異なる申込書類を準備した上で安全性への適合性証明試験を個別に実施しなければならず、多くの時間と費用がかかる。
こうしたプロセスを省力化する上で役立つのがCB証明書である。CB証明書はIEC(国際電気標準会議)規格に基づいた適合性証明試験の実施後に発行される書類だ。「IECEE(IEC電気機器安全規格適合性試験制度)加盟国はCB証明書を、各国の安全基準に沿った適合証明試験の結果を代替するものとして受理すると取り決めている。このためCB証明書があれば、各国別の適合性証明試験を何度も実施することなく、安全性に関する規格認証を複数の国で同時に進めることができる。適合性証明試験はたった一度だけで済み、規格認証取得にかかる期間短縮と費用削減が見込める」(菊池氏)という。
今回OKIエンジニアリングが発表したワンストップ申請サービスでは、適合性証明試験の実施から、試験結果を報告書として取りまとめてCB証明書の認証機関であるNCB(国家認証機関)に提出し、NCBが発行したCB証明書をメーカーに渡すまでのプロセスを全て請け負う。「CB証明書を取得するための適合性証明試験はIECEEからCBTLとして認可を受けた試験場でのみ実施できる。なお認可のためにはNCBから推薦を受ける必要があり、今回当社はノルウェーのNCBであるNemko ASに本庄センターを推薦していただいた」(菊池氏)。
今後の展開について菊池氏は「CB証明書申請サービス全体では、初年度1億円の販売目標を立てている。CB証明書発行件数は年々増加しており、今後さらに伸びていく市場だと考えている。特に注力したいのは医療機器分野とマルチメディア機器分野だ。医療機器分野ではアジア市場向けの多機能製品が増加していることから、マルチメディア機器分野では5G対応機器の将来的な増加が見込まれることから、いずれも製品の規格認証を得るためのCB証明書申請数も増加すると見込んでいる。また、マルチメディア機器分野については、当社をCBTLに推薦していただいたNemko ASが情報家電分野の認証に強みを持っているので、同社と協力しつつ事業拡大を図っていきたい」と考えを語った。
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